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暖かい春の風が吹き、森の木々がザワザワと音をたてる。
1本の木の枝に結び付けられたブランコに腰掛けていたカトレアは、風で浮き上がった美しいブロンドの髪をそっと押さえた。
カトレアは、こうして1人で物思いに浸ることが好きだった。
もちろん、リリーやペチュニア、両親と過ごす時間も大好きだが、静かな森の中で過ごす時間は別格だ。
それに、今世では異様に動物に好かれているらしく、カトレアがいるだけですぐにたくさんの動物たちが集まってくる。
現に今も真っ白な小さな兎がカトレアの膝の上で眠り、肩の上には小鳥たち、足元には兎はハリネズミなどがいる。
前世では、世界的に有名な財閥の令嬢と言うことで、常にSPが近くにおり、1人になることなどありえなかった。
外出はもちろん、家の中を歩く時ですら近くに必ず誰かがいた。
☆
「おねーちゃーん」
「お姉ちゃんどこ〜？」
かわいい妹たちの自分を呼ぶ声が聞こえ、兎がピョンと飛び降り、周りの動物たちが解散すると、カトレアはスっと立ち上がる。
その姿は前世の頃と何も変わらない、ただ美しいの一言で満ちるものだった。
『チュニー、リリー、ここよ』
凛とした声は広い林の中を駆け抜け、2人の妹の元へ届く。
「リリー、お姉ちゃんいたわ」
「そうね、早く迎えに行きましょう！」
優しく美しい姉が大好きな妹たちは、顔を見合わせて駆け出した。
「お姉ちゃん、ご飯ができたわ！」
「今日はお姉ちゃんの大好きなシチューよ！」
飛びついてきた妹たちを抱きとめ、カトレアは美しく笑う。
『ええ、ありがとう。一緒に戻りましょうか』
前世日本人のカトレアは、家や社交界の場で出される繊細な味の料理に慣れてしまい、生まれ変わって10年がたった今でも濃い味付けのボリューミーなイギリス料理に慣れられていなかった。
それでも薄味が好みで少食のカトレアを気遣って、あまり得意でない薄味のシチューを食卓に出してくれる母や好きな物は人それぞれだと言ってくれる父、文句ひとつ言わずにシチューがご飯だと一緒に喜んでくれる2人の妹たちのおかげで、食事を苦痛だと感じることもなく日々過ごしている。
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雅 - とても面白いですっ！！物語が丁寧だし読みやすい…更新頑張ってください！！ (2月6日 22時) (
レス) @page8 id: cc7c78e963 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - ものすごく面白いです！！更新頑張ってください！ (2021年11月29日 19時) (レス) @page45 id: a84d0456a3 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 蒼月さん» はい！私のイメージだとそうです！！ (2021年9月27日 10時) (レス) id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 宵桜の館さん» なるほど!! 例えば、夢主の近くにいる不死鳥をフォークスのような紅だとしたら、夢主のアニメーガスはONEPIECEのマルコのような蒼＿とかで合ってますか？ (2021年9月26日 12時) (レス) id: 1cda098b14 (このIDを非表示/違反報告)
宵桜の館(プロフ) - 初めまして、楽しく読ませてもらっています！不死鳥は、色を変えてみては如何でしょうか？あくまで個人の意見ですし、蒼月さんの考えに添えているか分かりませんが．．． (2021年9月26日 12時) (レス) @page43 id: b0c551b146 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼月 | 作成日時：2021年5月20日 21時
