1周年記念 �� ページ9
”精霊のイタズラ”だと告げ、それきりだんまりのアシェルに、ダンブルドアはまるで我儘な子供を見ているような目で微かに笑い、マクゴナガルとマダム・ポンフリーを連れて医務室を出ていった。
三人の大人が出ていったのを確認し、アシェルには杖を一振りして外に音を通さなく、内から外は見えても外から内は見えない透明な幕を張った。
「それで、彼女を何処に飛ばしたんだ？」
カトレアの上に浮かぶ鏡に向かって言うアシェルに、オリビアとソフィアもまじまじとそこを見つめた。
世界で唯一精霊と言う存在を見ることが出来ると言う、フォーリーの魔眼はあまりに有名だ。
それは純血、それから親や親族に魔法使いがいる者は幼い時に寝物語などで一度は必ず耳にするし、マグル生まれの者も＿特に今年はフォーリー家の嫡男が入学したということで＿友達や寮の先輩から必ず教えられている程。
それでも、彼や彼の一族の魔眼を見た者は限りなく少ない。
魔眼やフォーリー家についての本は多く出版されているが、その多くは憶測であったり、噂程度の事がまとめられているだけ。
ダンブルドアですら多くを知らない。
［ようやくこっちを見てくれたのね、アシェル］
背中には大きなオーロラの羽があり、上品な黒のドレスを身にまとった手のひら程の大きさの美しい精霊がそこにいた。
鏡の縁に腰掛け、揶揄うように言った彼女に、アシェルは少々バツが悪そうに「ヴィア」と呼んだ。
ヴィアは古くからいる精霊の一人で、アシェルが生まれる前からアシェルを見守っている、姉のような存在だ。
「あら、ごめんなさいね」
悪びれもなく言ったヴィアはそのまま実に楽しそうな笑みで続けて言った。
［飛ばしたのは
告げられた事実には、流石のアシェルも驚いた。
身体を残したまま意識だけがなくなった事から、ただ国を渡った訳ではなく過去か未来にでも飛ばされているのかと思っていたらまさかの世界を越えていたなんて誰が想像するだろうか。
「王はその事を知っているのか？」
［当たり前よ。それにあの子を飛ばすことを提案したのは王なのよ。なんでも祝い事があるみたい］
信じられないような眼でヴィアを見たアシェルは、ひとつ大きなため息をついた。
［そんなに心配しなくたって大丈夫よ。あの子を連れていったのは私だし、戻すのも私よ］
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作者名：蒼月 | 作成日時：2023年7月1日 16時
