ホグワーツの天才児番外まとめ【ハリポタ】 (ページ3)

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1周年記念 Ⅱ ページ3

日本有数の名家である西園寺の廊下には、西洋風の大きな古い姿見があった。

自分が生まれるよりもずっと昔からあると言うその鏡は、なんだか不気味で、胸よりももっと奥＿心の辺りがザワザワして落ち着かないからと、椿にとってあまり近寄りたくない物だった。

しかし、いつもはできるだけ見ないようにと避けている姿見だと言うのに、今日は見なければいけない(・・・・・・・・・)と何故か思った。

見たくはない。態々不快な思いをする必要はないのだろう。

けれど、何故自分がそう思ったのか気になってしまった。

あまり好きではない姿見に態々近づくと言う娘を心配して着いてきた両親を他所に、小さく深呼吸した椿はそっとその大きな姿見の正面に立った。

視界の端をオーロラの何かが掠めた気がした。

「え...？」

自分の姿が映るはずだったそこには、深緑の瞳とブロンドの髪を持つ、グリフィンドールのローブを着た美しい少女が立っていた。

椿を見て微笑んだ少女は1歩2歩と近ずいて来て、椿に向かって手を伸ばした。

この子は西園寺椿(・・・・)ではない。でも、きっとこの子は私(・)だ。

未だ椿に向かって手を伸ばし続けている彼女に、椿もまた1歩2歩と歩み寄って手を伸ばす。

両親の困惑したような声が聞こえた。でももう止まれない。

あと5センチ

＿＿＿＿3センチ

＿＿＿＿＿＿１センチ

本来なら硝子のように透明な何かに阻まれるはずの手はその鏡の中に沈んでいき、彼女の指もまたこちら側に干渉している。

指と指を交じ合わせ、所謂恋人繋ぎのように握りしめる。

彼女と数秒見つめ合い＿次の瞬間優しく、しかし確りとした強さで握った手を引かれた。

鏡の中に引きずり込まれるのを覚悟したのは一瞬で、しかし椿の体が引きずり込まれるようなことは無かった。

代わりに背中を押されたかのように彼女がゆっくりと鏡の中からその体を出していた。

先程指が鏡から出てきていた様に彼女の体が鏡の向こう側に引き止められることはなく、彼女の全てがこちら側に出てきた時につぷん、と僅かに引き止める様に鏡が波打っていただけだった。

くすくすと小さな笑い声が聞こえた気がした。