シリウス･ブラック誕生祭 2022 �� ページ12
長めの黒髪を搔き上げながら笑うシリウスに、オリビアは兎も角ソフィアですらも若干冷めた目を向ける。
「やっぱりいた」
「うん、いると思った」
突然のシリウス･ブラックの登場に、オリビアもソフィアも慌てることも驚くことも無く至極当たり前のように流していた。
「なんてこった、オリビアとソフィアにまで気付かれていたなんて。腕が鈍ったか？」
「失礼ね」
さっきの子にここに居るってそのマントを引っ剥がしても良かったのよ？と脅すオリビアに、シリウスは肩を竦めながらハンズアップした。
一々絵になる男だ。
彼に憧憬していたり、恋している子がいればこんなキザな仕草ですらも堪らないのだろうが、生憎とここにはそんな子はいない。
「シリウスは、何か用があったの？」
女の子達から逃げるのならば、今日一日”必要の部屋“に引きこもっていればいい。
いくら透明マントがあると言っても、これは姿を見えなくするだけで存在はするし、匂いや音だって消えない。
見つかる可能性はゼロでは無いのだ。
それでも出てきて態々カトレア達の元にやってきたのは何か理由があったのだろう。
「ああ、勿論。プレゼントの催促にさ！」
ジェームズ程ではないと言えど、シリウスは自信家で傲慢な人間だ。
知らない女の子達からの(惚れ薬が入った)プレゼントはいらないが、友人であるカトレア達からは欲しかったのだろう。
だがしかし、オリビアとソフィアはキョトンとし同時に首を傾げた。
「私、贈ったわよ」
「うん、ブレッドが催促に来たわ」
直接渡したくて探し回る女の子もいるが、大抵の者はフクロウにプレゼントを持たせてシリウスの元へ届ける。
オリビアとソフィアもそうしたのだから、催促する相手が3人しかいないこの場ではその対象は一人しかいない。
「待ってたんだけど」
「ふふ、ごめんなさいね」
拗ねたように言うシリウスに、少し意地悪してしまいたくなったの、とカトレアは笑ってローブの中から包装された細長い箱を取り出した。
「誕生日おめでとう、シリウス。貴方の一年がより良いものでありますように」
チュ、と頬に一つキスを落とす。
耳まで赤くなったシリウスが叫ぶように「ありがとう！」と言って、いつもの飄々とした態度が嘘のように慌てて透明マントを被ってしまった。
バタバダと廊下を走る音が遠ざかっていく。
カトレアは一人、クスリと笑う。
後日、シリウスの胸元にシルバーのネックレスがかかっていたとか＿＿…
(え、何を見せられたの？)
(惚気、かなぁ…？)
カトレア･エバンズ誕生祭 2022→←シリウス･ブラック誕生祭 2022
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蒼月 | 作成日時：2023年7月1日 16時
