幻の最強 【東リべ】壱

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No side


「美香ッ!!」

集中治療室にボロボロの彼女が入れられて数十分、ベンチに座っている2人の元に汗だくの両親がやって来た。

こういう時にいつも対応するのは仁斗だが、今彼は自販機に飲み物を買いに行っているため不在で、代わりに綾介が声をかける。

『娘さんなら今治療中ですよ、ってアンタ...』
「この前の...」

Tシャツを血だらけの彼女にかけてやった為、上半身裸の綾介を見て固まる彼女の母親と、綾介の顔を見て固まる父親、父親を見て固まる綾介の不思議な光景が出来上がった。

「綾介買ってきたぞ」

そして帰ってきた仁斗。まさにカオスである。


☆


集中治療室の 手術中 のランプが消え、両手を合わせて祈っていた両親が顔を上げる。

「頭を7針縫い、左目網膜剥離、肋骨が折れていました。とても危険な状態でしたが、一命は取り留めました。手術は成功です。

見つけるのがもう少し遅ければ間に合わなかったでしょう。彼らのおかげですよ。」

中から出てきた執刀医が告げた内容に、両親は互いに抱き合って涙を流す。


「君たちのお陰で娘は救かった。また救けてもらった。何と礼を言ったらいいか...」

彼女の父親が、綾介が以前絡まれてるところを救けた人だと判明し、またまた救けられたとわかった両親は深々と頭を下げる。

「頭を上げてください。そもそも頭を下げるべきなのはこっちだ」
『俺らの世界に娘さんを巻き込んだ。不良と付き合っていたとしても、あの子が一般人であることに変わりはない。

あの子をこんな目に合わせたチームは俺らが全勢力で潰す。』


なんの為に有罪(ギルティ)を創ったというのか。自分(綾介)みたいな思いをする人を出さない為だったはずだ。では何故この人達の娘はあんな目に合っている？何故この人達はこんなに悲しむ目に合っているのか。



両親に背を向けて病院を後にする2人に、両親は再び頭を下げて見送る。

娘をこんな目に合わせた不良を2人は許すことができない。しかし、それでも不良を率いるあの2人が娘の命を救ったことに変わりはないのだ。





その数日後、武道がドラケンの命を救うために再びこの時代にやって来る。

番外編 �、�←40（2021.11.29 修正）

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