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No side
綾介は、新聞記事とは別のファイルに挟まった万次郎の写真を眺める。その首筋には見覚えがありすぎる龍の刺青が彫られている。
「会長、そろそろお時間です」
コンコン という静かなノックとともに扉越しに告げられた声に綾介は立ち上がる。
『時間だ。電車で来たなら車を出してやる。』
ずっと綾介の後ろに控えていたスーツの男_椿原と呼ばれていた_がファイルを片付け、座ったままの武道と直人を立たせる。
『今回は問題なかったが、花垣が過去を変えれば
それから、橘直人。
大きな扉を開けて、背を向けたまま淡々と言う綾介。振り返ったその瞳は真剣で、その言葉が事実だと暗に言っていた。
警察であろうとも、"東卍"は止められない。
それが稀咲の言いなりになっている"東卍"なら何とかなったかもしれないが、綾介の事を調べた場合、動くのは確実に万次郎だ。
万次郎にとって堅がいなくなった今、綾介は唯一の心の支えだ。その唯一が脅かされるような事があれば万次郎はなりふり構わず直人を消すだろう。
幹部専用の駐車場から出ていく黒塗りの高級車を最上階の執務室から眺める。
「大丈夫か?」
どこか顔色が悪い気がしなくもない綾介にそっと寄り添うのは、20年以上の付き合いである仁斗だ。
白髪から銀髪に変わった綾介とは違い相変わらずの黒髪に白メッシュの仁斗は、ピチリ とスーツを着こなしている。
仁斗はこの"和一會"の副会長で、会長である綾介を
「綾介、顔色が悪い。少し寝ておけ」
『仁斗...』
フラ と倒れそうになる綾介の腰を抱いた仁斗はそのまま部屋を出て、隣の綾介の自室に導く。
執務室や応接室とは違い、壁の一面がガラスになっていない綾介の部屋は、大きなベッドや本の詰まった棚、冷蔵庫、クローゼットなど、生活に必要な物が置かれている。
本当の家は別荘も含めて幾つもあるくせに、帰るのを面倒くさがっていつもここに泊まるのだ。
キングサイズのベッドに綾介を寝かせた仁斗だったが、そのまま腕を取られて一回転。
上に綾介が覆い被さる。
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38歳の仁斗です。
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腐敗物 - 米神ではなく顳顬です。 (2022年1月10日 19時) (レス) @page36 id: 32bfa4335a (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - うわぁ…ホントですね。18話がないのも、稜介が綾介なのも気が付きませんでした…!! 気をつけますね!! (2021年9月20日 13時) (レス) id: 1cda098b14 (このIDを非表示/違反報告)
白 - とても面白くてすぐに読んでしまいました!ですが18話が無いのと夢主の字が稜介から綾介になったのが気になりました。 (2021年9月20日 10時) (レス) id: a5a0810e66 (このIDを非表示/違反報告)
ta0628tm0105(プロフ) - 最高です!!!こういう東卍の作品を探してました!!!続き待ってます!!!! (2021年7月25日 11時) (レス) id: 0ed1a1911f (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - いちごミルクさん» 一応考えてはありますが、もう少し話が進んだらアンケートをとる予定です! (2021年6月27日 14時) (レス) id: 599dfade38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼月 | 作成日時:2021年6月7日 21時