幻の最強 【東リべ】壱

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ほ、星が赤くなってるぅぅぅ!!!!!!!


⿴⿻⿸

No side


『本来なら出回るはずだった新聞記事だ』

この後予定があるから手短に話そう、と言った綾介が出したファイルに綺麗にとじられているのは、何枚かの新聞記事の切り抜き。

龍宮寺堅の死亡についての記事だが、これらは実際には出回っていない。というのも、堅の家族たちの 死に晒すような真似はさせたくない という希望によって綾介が新聞社に圧をかけて金の力で出回らないようにしたのだ。

『堅は12年前の8月3日、渋谷の駐車所で東卍の抗争中に腹を刺されて死んだ。

これは聞いた話だが、東卍の内部で"マイキー派"と"ドラケン派"で別れてたらしい』

「ちょっと待ってください!! 本当にマイキー君とドラケン君が抗争なんてしたんですか!?！」
「武道君、落ち着いてください。

らしいってことは、八神さんは詳しくご存知ないんですか？この時はまだ東卍は有罪(ギルティ)の傘下だったんですよね。詳しく知ろうとは思わなかったんですか？」

武道を制しつつ手に取ったファイルを捲る直人に、綾介は悔いるように目を閉じた。

『...そうだ。俺も、万次郎も、まだまだガキだったんだよ。

俺はこれ以上、傍で親しい奴らが死んでいくのが耐えられなかった。堅が死んだ事実から目をそらすように仕事に打ち込んだ。

同時に、万次郎に1番近くて心の支えだった堅がいなくなったことでどんどんおかしくなっていくアイツからも背を向けてたんだ。』



いつだって、真っ先に死んでいくのは善い奴らからだ。

極道の娘に生まれて、生真面目な親父に恋をした優しい母さん。
高給取りの極一般的なサラリーマンで、極道の娘の母さんに恋した親父。

ガキでありながらも、チームの良心で万次郎の心を支えてた堅。


親を殺されたことで俺のようなガキを出さない為に不良を続けてチームを作ったくせに、いざ人が死ねば自分の事に精一杯だった。


「...今のマイキー君を止めようとは思わないんですが？」

『...俺にはアイツを止めることも否定することも出来ねぇ。

自分の苦しみに精一杯で、アイツが苦しんでることを分かろうともしなかった。俺にアイツを止める資格なんてない』
「でも、今のマイキー君を止めることができるのは綾介さんだけでしょう!? 」
『言っただろ。俺は万次郎を否定することはできない。

唯一"東京卍會"でも"無敵のマイキー"としてもアイツを見てない俺がアイツ自身を、"佐野万次郎"を否定したらアイツはぶっ壊れる。』

38→←36 （2021.10.9 修正）

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