幻の最強 【東リべ】壱

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No side


地上37階建てのオフィスビル。30階以上に行く方法は、特別な鍵がないと乗れないエレベーターしかない。

見るからに高そうなカーペットの敷かれた廊下、品の良い装飾品が置かれたビルの35階を歩く。



大きな扉の前で立ち止まった男は、無遠慮に扉を開くと武道と直人を部屋に招き入れた。

ブラウンを基調としたシンプルな部屋ではあるが、特別目を引くのは丸の内のオフィス街が一望できるようなガラス張りの壁だった。


東京タワーやスカイツリーよりは低いものの、それとは少し違う高さ118mの景色は、まさに限られた者しか見ることの出来ない絶景である。



『これ、いいだろ』

想像以上の部屋にあっけに取られていた2人の後ろから声をかけたのは、"和一會"会長 八神綾介である。

昔と違い銀色になった髪は背中まで伸びており、ストライプの柄シャツという格好の綾介は、相変わらずのイケメンであり童顔で、38歳にはまるで見えない。


綾介は武道達に部屋の中心に置かれたソファを進めると、自分も向かいに ﾄﾞｶﾘ と座る。

「警視庁 刑事部 組織犯罪課の橘直人です」
「あ、花垣武道です」

武道達を案内してきたスーツの男が綾介、直人、武道の前にコーヒーを置く。

『そぉ。で、お前らは俺に何を聞きに来た』
「ッ!! "東京卍會"の事についてです!!」

『もし俺が東卍のことについて知っているとして、そう簡単に教えると思っているのか？』
「いえ...でも!! 俺は、俺たちは"東卍"について何も知らない。だからこそ、貴方に頼るしかないんです！」

『お前らは俺に、東卍に殺される覚悟があるのか』
「ッ！...ないです。死にたくありません。でも！何もせずにヒナを、アッくんを、ドラケン君を見捨てるような真似は、絶っ対ぇ しねぇ!!!」



『へぇ...橘日向に千堂敦、それに龍宮寺堅。一体どうやって死んだ人間を救おうって？』

痛い質問だ。この質問に答えるためには、武道がタイムリープできることを話さなければいけない。

そして、話したところで信じて貰えるのか、話て協力してもらえる確証だってない。

「それは...」
「タケミチ君、ここは話すしか...」

武道と直人が顔を見合わせた時、綾介は啜っていたコーヒーカップを ｶﾁｬﾝ とソーサーに戻した。

『なーんてな。

知ってるよ。お前がタイムリーパーだってことは。』



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38歳バージョンの夢主です

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