幻の最強 【東リべ】壱

21 過去編 �� ページ23

優しくて、料理が上手くて、美人で、親父が大好きで、笑顔がかわいくて、怒ると実はめっちゃ怖かった母さん

真面目で、家事が全く出来なくて、イケメンで、母さんが大好きで、母さんに尻に敷かれてて、見かけによらず甘いものに目が無かった 親父



なあ、俺はこっからどうすればいいんだ？

血に濡れては母さんが何度も洗濯してくれた黒の詰襟に身を包んで目の前の遺影(笑顔の2人)に問いかける。

なあ、俺 母さんと親父の最後に立ち会えなかったんだよ。2人とも子不幸者だな。こんなに早く俺を置いてくなよ。

なあ、2人は何を思って逝ったんだ？俺の事？それともお互いのこと？考える間もなく逝っちまったのかな？


家に帰っても2人が居ない事に泣いて泣いて泣いて、

あの日早く帰らなかった自分を責めて責めて責めて

もう涙は枯れちまった。



「綾介くん」

気づいたら2人が死んでからお世話になっていた弁護士が俺の握り締めた拳をそっと包んでいた。

いつの間に近づいたんだよ。

「ダメだよ。血が滲んでる」
『別に、いつも喧嘩してるからこんなの怪我に入んねぇよ』
「それでもだよ」

ゆるりと俺の握り締めた手を解きながら、弁護士は話し出す。

「僕は稜真さんの高校の後輩でね。同級生の奴らには稜真さんのお気に入りだったことをよく羨ましがられたよ。それぐらい慕われていたんだ。

晴風さんにも会ったことがあるよ。高校を卒業してからも稜真さんとは交流があってね、君が産まれる前にお腹を触らせて貰ったことがある」


[綾介、この問題にはこの式を当てはめるんだ。そうだ。綾介は頭が良いな]
[[当たり前だろ！誰の息子だと思ってんだよ!!]]


[綾介、蹴りはもっと速く振り抜きなさい。そんな蹴りじゃガードされるわよ。ああ、今のはいいわね。流石綾介ね]
[[ｼｼｯ 母さんの血を引いてるからな!!]]


[綾介は強い。どれだけ無茶はしても無理はしないでちょうだい。母さんとの約束よ。]
[[母さん、心配しなくてもそんな馬鹿なことはしねーよ。俺は人の道を外れる外道でも、親に心配をかけるガキにもなんねーよ]]


[綾介、正直僕はお前が不良なのを賛成できない。でも、お前がそんなことに従うとは思ってない。だからこれだけは守ってくれ。無茶はするな。晴風を悲しませるな。できるだけ怪我をするな。僕との約束だ]
[[なあ親父、知ってるか？俺、もう母さんよりも強いんだぜ？それから、無茶はするけど無理はしねーよ。母さんとも約束したんだ]]

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