幻の最強 【東リべ】壱

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No side


『オマエらバイクか？』
「いや、チャリっす」


先程の絶対零度の空気がなくなり、綾介の纏う空気がいつもの雰囲気に戻る。こうしてスイッチのオンオフを簡単に切り替え、滅多に人に当たらないのが綾介が多くの人に好かれ、尊敬されている原因の一端でもあるのだろう。


「綾介さん、俺腹減った。なんか奢って♡」

まるで恋人かのように綾介に腕を絡ませて強請るマイキー。約25cm(夢主は、187cm)の差を使って上目遣いをしているところが妙にあざとい。


『ん、ここら辺近くになんか店あったっけ？』
「いや、悪いっすよ ((「マジで!?ヤッター!!」

綾介のに抱きつくマイキーの横を歩くドラケンが遠慮しようとしたが、それを大声で遮るマイキー。

『こういう時ぐらい歳上に甘えとけよ、堅』

傍から見たら20歳そこそこでモデルか役者とかをやってるようにしか見えないこの男が、実は26歳で東京どころか関東全域を纏めあげる 有罪 の総長だなんて誰が信じるだろうか。


ﾆｯ という効果音がつきそうな機嫌がいい時に見せる笑みを浮かべる綾介。その美貌から醸し出させるオーラにドラケンは ﾄﾞｸﾘ と心臓が音を立てたのを感じた。


ドラケンと綾介が話している今も尚、好き好きオーラを出して引っ付いているマイキーのようにしたいわけではないが、ドラケンだって綾介に憧れている。

綾介になら普段使わない敬語だって使いたいと思えるし、できるなら喧嘩だって一緒にしてみたい。憧れ(綾介)と同じバイクに乗っているのがドラケンの密かな自慢であるほどに、ドラケンも綾介に心酔していた。

揃いも揃って重症である。





「俺、お子様ランチ!!」

近くにあったファミレスに入ってすぐ、臆することなくお子様ランチを頼むマイキーにドラケンはため息をつく。別に仲間内で来てて自分で払うならなんの問題もない。だが今一緒にいるのは天下の 有罪 の総長〖幻の狼〗と呼ばれている綾介さんで、金を払うのも綾介さんだ。

マイキーが綾介さんが大好きなのもわかる。それはドラケンも一緒だ。だが、もう少し遠慮という言葉を覚えるべきだとは思う。

それに、こちらをチラチラと伺うような視線が気に入らねぇ。綾介はスタイル抜群の童顔イケメン好青年。(に見える)


テメェらチラチラ見てんじゃねぇ!!と叫びたくなるのを、ドラケンは必死でこらえる。こんなところで叫んだら綾介さんの顔に泥を塗ってしまう。

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