第六話 ページ7
一時の滞在許可を貰うことが出来た私は、鱗滝さんとも一応軽い自己紹介を済ませると、何か手伝えることはないかと尋ねたが、首を横に振られてしまった。
特にやることもないので部屋の中で座り込み、何やら手紙を書いているらしい鱗滝さんを見つめる。
彼は、筆を使いすらすらと文字をしたためている。
筆なんて学校の書写の授業でしか使ったことのない自分にとっては、その光景はとても新鮮に感じられた。
こっそり見ていたつもりだったのだが、少し注目し過ぎたらしい。
「そんなに見つめて何か用があ…… 」
言葉が止まった。どうしたのだろう。
「お前、体が透けて……。」
そう言われ自分の体を見ると、確かに透けていた。
やっと来たか、と思った。これはいつも、夢が覚めるときに起こる現象である。
「あ、そろそろ家に帰れそうです！ 」
顔が見えないので何とも言えないが、どことなく心配そうな鱗滝さんを安心させるように私は笑顔で言う。
「短い間だったでしたけど、ありがとうございました。……会えて、嬉しかったです。」
体がどんどん透けていく。
鱗滝さんはそれを黙って見つめている。
そして、私は世界から静かに消えた。
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ちづ - こういう小説ずっと探してて！！やっとめぐりあえました！！！！めちゃくちゃ面白いです！！更新頑張ってください！応援してます！！！ (2020年4月14日 13時) (
レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
須加(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけるととても嬉しいです……！励みになります……。ありがとうございます！ (2019年11月11日 7時) (レス) id: 15e826e72c (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - とても面白いです！夢の中でトリップして、それが現実と繋がっている…発想が素敵ですね！頑張ってください！ (2019年11月11日 1時) (レス) id: ab073858ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：須加 | 作成日時：2019年11月10日 20時
