検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:28,740 hit

第二十三話 ページ24

連れてこられたのは、立派な日本家屋だった。
その門構えに圧倒される。

彼に続き屋敷に入れば、外観に釣り合った大きな庭が広がっている。
そして長い廊下を歩いて行き、庭が一望できる一室の前で立ち止まった。

「ここで少し待っておれ。」

そう言うと彼は姿を消した。
座るのもなんだか落ち着かなくて、立ったまま庭を眺めることにする。

梅の木が花を咲かせているのを見るに、今は春なのだろうか。
しばらくそうしていると、廊下から足音が聞こえてきた。


「待たせてすまなかったのう。そこに座ってくれ。」

お茶を手に戻ってきた彼の言う通りに、置いてあった座布団に腰を下ろした。

「名乗っていなかったな、わしは桑島慈悟郎という。」

「AAです。」

「さて、早速本題に入るが、鱗滝の家に行きたいんだったか。」

私は頷く。

「お嬢ちゃんは鱗滝の弟子とかか?」

「弟子……と言っていいのかはわかりませんが、家に帰れず困っていた所を、鱗滝さんに保護して頂き、少しだけ鍛えてもらっていたんです。」

「ふむ。と、なると、家の者も心配しているんじゃないかのう?」

「あ、えと。家は(ここの世界には)元からないです。」

「それは、すまない事を聞いた。」

「え、いいえ!気にしないで下さい!!」

なんだか可哀想な境遇の女だと伝わってしまった。
申し訳ない。でも、いい人だとわかっていても、さすがに出会ってすぐの人には私の詳しい話をするのはまずい。絶対に頭のおかしい女だと思われてしまう。

「鱗滝にはわしから手紙を送っておこう。返事が来るまでは暫くかかるじゃろう。それまでは此処にいるといい。」

「い、いや!そこまで迷惑をかけるわけには、」

「ちょうど人手が欲しかったんじゃが…………。そうか、残念だのう。」

「え、いや、アっ、喜んで手伝わせて頂きます!!」

悲しそうな表情に、私が悪いことをしてしまった気持ちになり、つい反射的に返事をしてしまう。


その言葉を聞いた彼は、悪戯が成功した子供のような笑顔を浮かべた。


「そうと決まれば、わしの弟子を紹介しておこう…………おーい、獪岳!!」


すると、廊下を歩く足音が近づいてくる。
そして、それは私たちのいる部屋の前で止まった。

第二十四話→←第二十二話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
38人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , トリップ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちづ - こういう小説ずっと探してて!!やっとめぐりあえました!!!!めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます!!! (2020年4月14日 13時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
須加(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです……!励みになります……。ありがとうございます! (2019年11月11日 7時) (レス) id: 15e826e72c (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - とても面白いです!夢の中でトリップして、それが現実と繋がっている…発想が素敵ですね!頑張ってください! (2019年11月11日 1時) (レス) id: ab073858ed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:須加 | 作成日時:2019年11月10日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。