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第十九話 ページ20

誰かに頭を撫でられている。

「おつかれさま。」

やさしい声に目を開けると、真菰と錆兎の顔が見えた。

「あれ……布団。」

私は布団に寝ていた。
脚を見ると、怪我の手当が施されている。
鱗滝さんがやってくれたんだ。

「まだまだってところだな。」

錆兎が笑う。

「もう!Aは十分頑張ったんだからね!」

真菰が頬を膨らませる。

「ふふ、ありがとう。」

「ゆっくり休んでね!……あ、休めないんだっけ……。」

彼女が不安そうに眉を下げた。

「あー、ううん、心配しないで!もしかして、起きたら治ってるかもしれないし!」

安心させるように微笑む。

なんだか眠くなってきた。疲れたからかな……。

二人の顔がぼやけていく。

「……無理はするなよ。」

やさしい声が聞こえた。





目を覚ますと、私はベッドの上にいた。あれ、車じゃない。枕元にメモを見つける。

『おはよう。ぐっすり眠っていたので、起こさないでおきました。ご飯はテーブルに置いてあります。遅刻しないようにね。』

母の字だ。
もう仕事に行ったのだろう。

体の怠さが尋常じゃない。安定の眠気。やはり眠ったことになっていない。かなり疲れていたこともあり、きつい。身体は徹夜二日目状態である。

時間を確認しようと、時計を見た。
7時30分。



………………遅刻する!!!!




急いで着替えると、なんの足しにもならないかもしれないが、濃いブラックコーヒーを飲む。にがい。甘いカフェオレのほうがいいな。
髪を整え、玄関に向かう。鍵を閉め、自転車に跨がった。

傷や筋肉痛で痛む脚を我慢し、全速力でペダルをこぐ。



校門が見えてきた。







しかしそこで、私はまたぶっ倒れた。



どうやら気絶では世界を行き来しないようだ。
保健室の無機質な天井を見上げる。
成す術がなさすぎて、ため息しか出てこない。
じくじくと、怪我の痛みが増した心地がした。

「目が覚めたんですね……安心しました。せっかく来てくれたのに残念かもしれないけれど、今日は早退しましょうね。」

私はこくりと頷く。

先生は歩く度にぐらぐらと揺れる私を不安に思い、引き留めていたものの、私があまりにも折れないので、何かあったらすぐに電話をするように言い、送り出してくれた。





◇◆◇

徹夜一日目はまだ耐えられる。だけど二日目はさすがにきついですよね。ちなみに主人公は高校生です。

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ちづ - こういう小説ずっと探してて!!やっとめぐりあえました!!!!めちゃくちゃ面白いです!!更新頑張ってください!応援してます!!! (2020年4月14日 13時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
須加(プロフ) - 橙咲智歌さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるととても嬉しいです……!励みになります……。ありがとうございます! (2019年11月11日 7時) (レス) id: 15e826e72c (このIDを非表示/違反報告)
橙咲智歌(プロフ) - とても面白いです!夢の中でトリップして、それが現実と繋がっている…発想が素敵ですね!頑張ってください! (2019年11月11日 1時) (レス) id: ab073858ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:須加 | 作成日時:2019年11月10日 20時

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