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「んん〜、これは……、ダメかぁ」
パラパラとめくった本を閉じて棚に戻す。その隣の本も手に取ってみたけれど、すぐに元の場所に戻されてしまった。
ここは温度と湿度が完璧に管理された薄暗い大学の図書館。私がここで何をしているのかと言うと、それはもう、げんくんのための心理学の本を探しているのだ。
ずらっと並んだ本を端からとってはめくり、めくっては元に戻し、たまに腕に抱えるという作業を授業が終わってからずっと続けている。
今日は午後一の授業までだったからこうやって本を探す時間が取れたというわけだ。
「これ、ならいいかも」
装丁の割と新しい本を腕に抱えて次の本を手に取る。
げんくんが心理学に興味があるってことがわかったから、こうやってわかりやすそうな本を探しているのだけれど、中々いいものが見つからない。
高校生ならともかく、小学生くらいでもわかるような心理学の本なんてほとんどないんじゃないだろうか。
ある程度簡単なものならわたしが解説するつもりだけど、出来ればげんくんがお留守番してる時に一人で読めるものがいいしなぁ。
「まあ、こんだけあればいいかな」
私は本を抱えて立ち上がる。五冊しか良さそうなものは見つからなかったけど、とりあえずこれでいいにしてもらおう。家に帰ったらげんくんと二人でネットで探せばいいしね。
無事本を借り、帰る途中でスーパーに寄って夕飯の材料を買い込んでやっとこさ帰宅!今日も疲れたな〜!
「おかえりなさい!Aさん!」
「ただいま!!げんくん!!」
玄関を開ければ笑顔でげんくんが迎えてくれた。
ああ、やっぱり天使……。
「荷物がいっぱいですね……。どうしたんですか?」
家を出て行く時にはそんなに持ってなかったのに、と言いたげな表情でげんくんが尋ねる。私はトートバッグから本を取り出して、げんくんの手に乗せた。
「んー、ちょっとね。ほらこれ、簡単そうなの選んできたよ」
「えっ、これって、心理学の本ですか?」
「うん、そう。比較的わかりやすいものを選んだつもりだけど、もしわからないことがあったら私に聞いて。一緒に勉強しよ?」
そう言えば、げんくんはぱぁっと顔を輝かせて、笑顔を浮かべた。
う、眩しい……!!こんな純粋な笑顔で目が潰されるのは本望だけど、それはそれとしてお姉さんには刺激が強いわ!
「ありがとうございます!」
うんうん、喜んでくれて何より。
ごはんの後にでも勉強会を開きましょうか。
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マジモンの名無し(プロフ) - やはり大丈夫ショタが好きだ (10月16日 6時) (レス) @page20 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
猫田尋 - 作者さん!俺をショタコンにして何をしようってんですか!?責任とって更新頑張って下さいよ!? (2020年5月9日 21時) (レス) id: b8b4fe567a (このIDを非表示/違反報告)
ジオネクスト - ああ尊い…可愛い… (2019年11月22日 22時) (レス) id: 031f9c185b (このIDを非表示/違反報告)
冷(仮) - ン”ン”ン” ゲンくん可愛いぃ…頑張ってください…好き… (2019年11月10日 23時) (レス) id: a33aef2e9c (このIDを非表示/違反報告)
通行人F - ありがとうございます...げん君可愛いです...ありがとうございます... (2019年3月25日 17時) (レス) id: 984eb3b612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜楓 | 作成日時:2019年1月25日 21時