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最終話 ページ20

どうやらわからないけど、今この世界は私の生まれた世界から三千七百年が経っているらしい。人類が全員石化して滅んでしまった文明を、もう一度取り戻した後の世界。

正直あんまり実感は湧かない。

でも。紛れもなく現実で。

ああ、そうそう。実感が湧かないと言えばもう一つ。

「ただいま〜、ゲンくん」

「おかえり、Aちゃん♪」

石から復活した私は、仕事と居場所が決まるまで、ゲンくんのところにお世話になっている。

ゲンくんはなんと外交官っていうなんだかすごい響きの仕事をしてるそうで、おうちも豪華だ。最初はすっごく緊張して眠れなかった。

「ね、ゲンくん。さっき聞いたんだけど、また海外に行くんだって?」

お仕事忙しいね。そう言ったらゲンくんはがっくり肩を落とした。

「そーなんだよね〜。でも、断れないし」

大人になったゲンくんはどこかミステリアスな雰囲気があって、話していると変な気持ちになる。私の中ではずっと可愛い男の子だったから、年上の男の人になってるっていう普通だったらあり得ない状況も重なって、尚更そわそわする。ゲンくんの家での居候生活には慣れたけど、これはまだまだ慣れない。

「あ、そうだ。来月出張の間、お留守番頼んじゃっていいかな?」

「え、あ、うん!」

私は慌てて頷く。私なんかでいいのかな、と思うけど、頼られると嬉しい。大人になったゲンくんはなかなか甘えてきてくれないから尚更。

「そんで、俺が帰ってきたら」

ゲンくんが続ける言葉に耳を傾けた。

「サイエンスマジックショーをやるつもりなんだよね。だからAちゃん、来てくれる?」

そのお誘いに、私は大きく頷く。

「もちろん! 指切りげんまん!」

小指同士を絡めて、私たちは約束する。あの時できなかった約束を。三千七百年をあけて叶った約束を、もう一度結び直した。

「楽しみにしててね」

ゲンくんが笑って、私も思わず笑ってしまう。

ゲンくんがいる世界は今日も楽しくて、鮮やかで。星みたいに輝いて。

いつまでだって続きますように、と私は思わず祈った。

「さ、ごはん食べよ」

「うん!」

ゲンくんが促して私は頷く。

何気ない積み重ねで日々は過ぎていく。積もっていく。
この石から復活した世界で、私は。
ゲンくんがいる世界で、私は。

これからも、未来を向いて生きていく。

終わり ログインすれば
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マジモンの名無し(プロフ) - やはり大丈夫ショタが好きだ (10月16日 6時) (レス) @page20 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
猫田尋 - 作者さん!俺をショタコンにして何をしようってんですか!?責任とって更新頑張って下さいよ!? (2020年5月9日 21時) (レス) id: b8b4fe567a (このIDを非表示/違反報告)
ジオネクスト - ああ尊い…可愛い… (2019年11月22日 22時) (レス) id: 031f9c185b (このIDを非表示/違反報告)
冷(仮) - ン”ン”ン” ゲンくん可愛いぃ…頑張ってください…好き… (2019年11月10日 23時) (レス) id: a33aef2e9c (このIDを非表示/違反報告)
通行人F - ありがとうございます...げん君可愛いです...ありがとうございます... (2019年3月25日 17時) (レス) id: 984eb3b612 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜楓 | 作成日時:2019年1月25日 21時

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