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ピシ、ピシシ、細かな音がする。
ん? 何これ。
石が割れるみたいな音に、いつの間にか消えていた私の意識が戻った。あれ? 寝ちゃってた? いやでもたしか……ってかなんで真っ暗なの?
軽くパニックになっているうちにピシピシ割れる音が大きくなる。
それから。
がしゃん。と重たい音がした。目の前が真っ白になる。眩しいそれに思わずぎゅうと目を瞑った。
恐る恐る目を開ける。
「え……? ここ、は……?」
知らない土地だった。緑豊かな大自然って感じ。遠くにビルはあるけど、でも私が知ってるのとはなんかが違う。
「混乱してるよね〜。わかるわかる。でも安心して。ちゃーんと俺が説明しちゃうから」
声が聞こえてきて振り返る。私は目を見開いた。
見上げるくらいの背の高さの男の人。多分私より年上。白と黒と二色になった髪が特徴的。黒いほうは短く切り揃えているのに、白いほうは一部だけ伸ばしている。奇抜とも取れる髪型だけど、よく似合っていた。
短い眉。紺色の目。つるんとした頬の形。にっこり笑ったその唇。
知らない男の人だ。でも、知ってる気がする。
まさか……。
「げん、くん?」
恐る恐る尋ねると、彼は嬉しそうに、子どもみたいにきゅぅっと目を細めて笑った。
「ゲン、こいつのことはテメーに任せる」
「オッケー」
知らない声が聞こえてきて、知らない人たちが去っていく。
その場にはげんくんと私だけが残される。
「げんくん? なんで大人に? あっ、ていうか私はどうなったの? なんかめっちゃ眩しい光が……、それはいいか、げんくんどうしてた?」
疑問が次々湧いてきて混乱しちゃう。げんくんは手を上げて私を宥める。
「わかるわかる、混乱するよね〜。でも、落ち着いて。ここは人類が石化して三千七百年後の世界だとか、君は復興後に復活させられたとか、昔の俺はタイムマシンの余波でうっかり未来に飛んじゃったからいきなり現れたみたいだとか、そんな話もあるけど」
「……んん?」
訳わかんない言葉ばっかりで私は首を捻る。げんくんはおかしそうに笑う。
「でも、それよりまず先にやりたいことがあるんだ。知ってる? 今日はね、土曜日。だから」
土曜日。それを聞いて私ははっとする。それは、あの時約束した。
「あさぎりゲンのゴイスー心理学マジックショー、観ていかない?」
ゲンくんは小指を立ててにっこり笑った。
「ね、Aさん。いや、Aちゃん?」
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マジモンの名無し(プロフ) - やはり大丈夫ショタが好きだ (10月16日 6時) (レス) @page20 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
猫田尋 - 作者さん!俺をショタコンにして何をしようってんですか!?責任とって更新頑張って下さいよ!? (2020年5月9日 21時) (レス) id: b8b4fe567a (このIDを非表示/違反報告)
ジオネクスト - ああ尊い…可愛い… (2019年11月22日 22時) (レス) id: 031f9c185b (このIDを非表示/違反報告)
冷(仮) - ン”ン”ン” ゲンくん可愛いぃ…頑張ってください…好き… (2019年11月10日 23時) (レス) id: a33aef2e9c (このIDを非表示/違反報告)
通行人F - ありがとうございます...げん君可愛いです...ありがとうございます... (2019年3月25日 17時) (レス) id: 984eb3b612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜楓 | 作成日時:2019年1月25日 21時