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3話 ページ3

「命の恩人に迷惑をかけてはいけないよ」
「すみません」

「彼は優しいんだろうね。だから君の狂言にも付き合ってくれたんだ」
「……」

本当のことなんだけどな。そう思っても口に出せない。
これ以上、明人さんの機嫌を損ねることはできないからだ。
しかし、事実を狂言と言われ、あまり気分がよくないのは確かだ。私だって一人の人間だから不快だと思うことはある。

「君は笹原家の人間になるんだ。狂人だと思われるような発言は控えるように」
「はい、以後気をつけます」

明人さんは優しい人で、亭主関白なところを除けば良い人だ。
確かに怖いと感じることはあるけど、手を上げられそうになったことは一度もない。
亭主関白は、今は良くなったとは言え男尊女卑の考えを持つ時代の名残だ。だから珍しいことではない。
それに明人さんに惚れて嫁入りに行くと決めた以上、笹原家の文化を尊重するのも妻の役目だ。
それが正しいのだと信じて疑わなかった。

それからは毎日鎮痛剤を飲み、塗り薬を塗って寝て傷を癒した。1週間経つ頃には、少しの痛みはあっても動けるようになっていた。
傷を早く治すため寝たきりで過ごしていた間、退屈で仕方なかったから、身体を伸ばすだけでも幸せに感じる。
深く息を吸って吐いても痛みは感じない。
久々に動けるようになったから、今日は嫁入り修行という名の稽古も無しだと言われている。
今日はどうして過ごそうかなと考えていると、使いの方が、ご来客ですと告げにきた。
明人さんはそのまま入ってくる上、今日は仕事なので、来るはずはない。
そうなると彼以外の人物が私に訪れに来るとは思えなかった。自分の人脈の無さに悲しくなる。

玄関へと向かうと、特徴的な羽織を身につけた男性が立っていた。
その人物は紛れもない私を助けてくれた人物だ。

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作者名:棺桶には単位をいれてくれないか | 作成日時:2019年10月29日 1時

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