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大橋くんはゆっくりを顔を上げ、プロデューサーさんと真っ向から対峙した。
プロデューサーさんはパイプ椅子から立ち上がる。
背が高くガタイのいい体を小柄な大橋くんが自然と見上げる形になる。
空気が張り詰め、俺たちは誰一人としてそこから動けなかった。
いきなり、ぐわん、と空気が揺れたような衝撃を感じる。
何が起きたか分からないが、
俺の体の力が入らなくなっていく。
大橋くんは歯を食いしばって必死に耐え、
真剣にプロデューサーさんを睨みつけていた。
せいぜい5秒、といったところだ。
空気がもう一度大きく揺れ、大橋くんは後ろに倒れて気を失った。
ふん、と鼻で笑ってプロデューサーさんは丈くんと謙杜の方に向き直る。
二人はとても幸せそうに表情を緩ませていた。
ダメだ、と言いたいが声が出ない。
あぁ、、なんて小さく呻くことが精一杯だ。
周りを見ても同じようだった。
大ちゃん、恭平、みっちー、俺。
Normalなんだから、なんとかしないと。
と気持ちだけがうるさく騒ぎ、
目には恐怖の色が濃く見える。
プ「Kneel(跪け)」
二人は抵抗する素振りもなく、冷たい床に正座した。
プ「今日は長尾くんもSubなんやねぇ。まぁ連れて行かんけど。
……大橋くん倒れちゃったなぁ(笑)
藤原くん、俺に前言うたこと覚えとるよな?」
こくん、と丈くんが素直に頷く。
藤原「…付き合わせてください、っていいました。おれ。。。」
プ「いいねぇ、、。」
舌なめずりでもするんじゃないかという表情で丈くんの顔を見ている。
だめだ、丈くん、だめ。行っちゃだめ。
そんな言葉たちは喉に張り付いてしまって、一切空気を震わせることがない。
無力な俺たちは見ることしかできない。
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作者名:哀川樹 | 作成日時:2022年9月30日 22時