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指の細かい動きがまだうまくできない。
もどかしい、とメッセージは諦め、電話をかけた。
Prrrrr…
末澤『もしもし?急に何?珍しいやん。』
出てくれて安堵した。
藤原「ちょっ、、今さ、どこおる?」
末澤『えぇ?収録終わって帰るとこやけど?てかまじでどした?』
藤原「今4階の楽屋に、おるんやけど、、ハァ、、来てくれへん?」
なんでよ!と言っていたが俺の様子が尋常じゃないことに気づいたのか、
分かった、待っとけ。と言われ、電話は切れた。
さっきよりは動かせるようになってきた体を確認する。
とても一人で帰れそうにはない。
あんなにも強いGlareは話には聞いたことがあったが、
当てられたのは初めてだ。
怖い。また彼を求めてしまいそうな自分が。
とりあえず落ち着け、と自分に言い聞かせ深呼吸をしていると、
ばたばたと足音が聞こえ、ドアが開いた。
末澤「丈!?どした?…顔色悪いで。」
一人ではなくなったことに少し安心する。
藤原「ごめ、、今日、車?」
末澤「うん。そうやけど。……てかまじで何があったん?」
末澤は椅子にくたっ、ともたれかかる俺に駆け寄ってきてくれた。
藤原「さっきな、、プロデューサーさんが来て、あの人Domやから、、__」
彼は急に呼ばれたにも関わらず、
俺のまとまっていない、途切れ途切れの話を真剣に聞いてくれた。
末澤「…うん。車には全然乗せたるし、送ったるけど、、、
大橋に連絡したほうがええんちゃうの?
俺じゃあどう対処したらええか分からへんし。。。」
俺はいやいや、と子供のように頭を振って言った。
藤原「こわいんよ。俺、プロデューサーさんに命令されて、、
……ちょっとだけうれしかった。きもちよかったんよ。
今、おおはしには会えへんかも。。。
どうしよ、、すえざわ。俺、、。」
分かった分かった、と背中を軽く叩かれる。
末澤「とりあえず落ち着くまでは俺んち来い。
今日大橋は仕事?」
朝の記憶を掘り起こして答える。
藤原「今日の帰りはだいぶおそくなるっていっとった、、。
でも、入りもおそいからまだ家におるかな。。。」
うん、と末澤が頷いたとき、
廊下からせーやくーん!と声が聞こえて、
声の主が半開きのドアから顔を出す。
正門「あぁ、ここに居った。
丈くん!こんにちは!…大丈夫すか?」
心配そうに俺のそばに来る。
一応先輩の楽屋だからか、
失礼します、と忘れずに言うところが彼らしい。
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作者名:哀川樹 | 作成日時:2022年9月30日 22時