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藤原「付き合い…ます。。。付き合わせてください、、。」
……なんで早く俺は彼に従わなかったのだろう。
こんなにもDomとしての威厳に溢れた人なのに。
従わせて欲しい。深いところにいる俺がそう叫んでいた。
プ「GoodBoy(いい子)!藤原くん!できるやん!
よし。仕事が終わったらまた会おうや。楽屋で待ってろ?」
こくん、と俺が頷いたのを確認して楽屋を出ていった。
ふわふわ、と体が浮いているようでとても心地良い。
藤原さん、と呼ばれ、収録をしてスタジオを後にする。
多分今日の収録は全くキレがなくて、
夢の中にいるようにぼんやりとしていた。
楽屋の椅子にもたれかかって言われた通りにプロデューサーさんを待ってしまう。
今帰れば大丈夫。
まだ仕事に出ていないはずだから、大橋に会える。
俺自身の気持ちはそうやって喚くのに、
体はどうにも重たくて、一切動こうとしなかった。
ぼーっと焦点が合わない目で何を見るでもなく空間を見つめる。
Glareってこんなに持続するんか、と考えているとプロデューサーさんが来た。
プ「藤原くん。動けへんみたいやね(笑)」
ちょっと強くしすぎたかな、なんてぶつぶつ呟いているのが見える。
すっ、としゃがんで目線を合わせられる。
俺の目をしっかりと見つめてきて、
より一層ふわふわとした気持ちになる。
プ「ランクは……Aってとこかな?当たっとる?」
はい、と答える。
きもちがいい。
プ「いいねぇ。俺に相応しい。。。また遊ぼうな?それが言いたかっただけ(笑)
Subが逆らえるわけないんやからさ。落ち着いたら気をつけて帰ってな?」
ぽん、と俺の肩を叩いてから部屋を出ていく。
待って、と言いそうになるのをなんとか理性で抑える。
ダメだ。俺には、、俺には、、、
少しだけ靄が晴れてきた頭で考えた。
藤原「お…おはし……」
短い時間でも、従ってしまいたいと考えた自分が恐ろしくなる。
こんなところ、と急いで立ち去ろうとしたが足に力が入らない。
マネージャーさん、と思ったが、収録が終わってから相当時間が経っている。
連絡がないということは、恐らく彼が何か適当に言って帰してしまったのだろう。
こんな状態で大橋に迎えに来てもらうのも気が進まない。
少しだけ、ほんの少しだけ、後ろめたかった。
誰か、、と考えて、
今日はAぇもこの局で仕事、と言っていなかったっけ?と思い当たる。
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作者名:哀川樹 | 作成日時:2022年9月30日 22時