21 ページ24
高橋くんは俺を家に入れると、涙でグズグズのオレの顔をタオルで拭いた。
高橋「謙杜？大丈夫やから、大丈夫。俺が居るし、もうあの人居らんよ？」
こわい、つらい、と泣き続けるオレの意図がよく分からないらしく、
彼の声かけはあまり的を射ていない。
オレが苦しいのはSubDropのせいだから。
支配して欲しい。命令して欲しい。褒めて欲しい。
Glareで思考まで溶かして欲しい。
そんなSubの自分が喚き散らしているのだ。
だからオレは我儘を言った。
長尾「たかぁしくん、Command言うて。おねがい。オレをほめて。たかぁしくん！」
号泣しながらそんなことを頼んでも高橋くんはNormalだ。
たとえ言ったところで何もない。
高橋「謙杜？俺はNormalやから。な？一回落ち着こ。」
彼もそれはよく分かっていて、オレに精一杯優しい声がけをしてくれる。
でもオレはわんわんと泣いて、もう何もかもよく分からなくなって言った。
長尾「たかぁしくん、オレ、たかぁしくんのことが好きなんよ！
オレに命令して！！おねがい！」
高橋くんの瞳が揺れた。目に涙が溜まっていく。
高橋「謙杜、、ごめん、、俺、。。俺が、、ほんまにごめんなぁ。
……俺も謙杜のこと好きやで。でも、俺じゃ幸せに出来んなぁ。」
そう言って抱き締めてくれる。
俺も高橋くんも子どものように泣いた。
どうにもならない本能に、
こんなふうに生まれてしまった境遇に、
涙を流した。
オレがなおも、おねがい、おねがい、と言い続ければ、
高橋くんは覚悟を決めた。
高橋「謙杜？Look(俺を見て)、、」
ぐっ、と必死に目を見つめてくれたが俺の心は不安定なまま。
高橋「ｯ、、､謙杜、GoodBoy(いい子)」
オレの身体は強い疲労感に包まれたまま。
GlareもCommandもNormalには無理。
NormalにはSubDropを治める事ができない。
そんな分かりきったことを現実に突きつけられた。
ごめん、ごめん、と謝り続ける高橋くんに泣き縋る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 170人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：哀川樹 | 作成日時：2022年9月30日 22時
