壊れても (ページ23)

今日:5 hit、昨日:12 hit、合計:67,277 hit

20 ページ23

もういいか、と半分諦めた。なんやかんや気持ちいいし、いいやん。もう。

SafeWordなんて言及することすらなく始まったPlayに恐怖は覚えていた。

でもGlareによって理性的な思考はじわじわと奪われる。

男「Lick(舐めろ)」

サンダルから足を出し、オレの方に差し出している。

ぼーっとした頭で従おうとする。

でも次の瞬間、目の前から男の足はなくなっていた。

高橋「何してんねん！おい！」

周りを見れば、高橋くんが男に掴みかかって押し倒していた。

いつも穏やかな彼の怒りに満ちた表情は初めて見る。

高橋「おい！なんとか言えや！」

胸ぐらを掴んで男を怒鳴りつけていた。

周りの人々がなんだなんだ、と視線を向ける。

その中の誰かが呼んだのであろう警察が来て、

興奮状態の高橋くんは引き剥がされる。

Domの方なんだから、そんな言い方するんじゃないよ、

と警官に諌められ、納得がいっていない表情だ。

Play中に褒められることなく急に終わったからなのか、

いつも以上に身体がだるくてしょうがない。

軽いSubDropやな、と自己分析する。

地面にへたりこんだまま、パニック状態にならないよう、

意識的に深い呼吸を繰り返す。

身体が重すぎて動けないし、動こうとも思えない。

警察から開放された高橋くんがこちらに急いで来てくれる。

高橋「謙杜？謙杜？大丈夫か？あいつになんかされたんか？」

長尾「だいじょぶ、、ﾊｧ､ちょっと軽いSubDropやと思う、。」

今タクシー呼ぶな？と言ってくれて、安心すると同時に、

家に帰ったら一人だと気づき涙が出るほど不安になる。

高橋「……なんで泣いとるん！？どした？どっか痛いんか？体辛いんか？」

スマホを操作してタクシーを呼び終わったらしく、駆け寄ってきてくれた。

長尾「こわい、、、たかぁしくん、オレ、いえかえったらひとりやから、こわい。。」

高橋「……分かった。俺の家に来りゃええ。俺がおるから。」

タクシーの乗り場まで半分抱えるようにして連れて行ってくれる。

待っている間も、乗り込んでからも涙は止まらない。

たかぁしくん、たかぁしくん、と不安が高まる度に呼べば、

大丈夫や、俺が居るで、と手を握って言ってくれた。

タクシーが停車し、支えて降ろしてもらう。