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長尾side

あの日の仕事は無事に終了した。

取材だけだったこともあって、みんなテキパキ動いて巻いて終わらせた。

ただ、この局には仕事で何度も来る機会がある。

はぁ、とスマホを見て今日の予定を確認し、ため息を付いた。

しかもオレ一人での仕事。会ってしまったらと考えると憂鬱でしかない。

ただでさえ抑制剤の副作用で重い身体を無理やり動かし、

マネージャーさんの車に乗り込んだ。

マネージャーさんにはあの一件を言っていない。

どうしたってDomの方が有利なこの世界において、

知っている人を増やすのは得策でないとみんなで相談したからだ。

楽屋でも収録中でも気が緩むことが一切なくて疲れる。

幸いにも丈くんがいないからなのか、

プロデューサーさんが顔を出すことはなくて少しほっとした。

マネージャーさんに今日の帰りは自力でお願い、と聞いていたから、

タクシーに乗ろうと思ったがなかなか捕まらない。

しゃーない、と思って駅へと歩き出す。

帰るだけやし。

目深に帽子をかぶり、雑踏に足を踏み入れる。

大きな駅なだけあって人が多い。

慢性的に頭痛があるオレにとって、

人混みはあまり得意なところではないがしょうがない。

ガッと肩が当たってよろけ、

反射的にすんません、と謝る。

男「あぁ?舐めとんのか?」

よりにもよってこんな人と肩がぶつかってしまうとは。

きつく手首を掴まれて人通りの少ない場所に連れて行かれる。

長尾「あの、、すみません、、怪我とか、、。」

男「兄ちゃん、可愛い顔しとんな。俺と遊ぼうや。」

ニタニタとした笑いを浮かべていて、嫌悪感を覚える。

恐怖で喉が絞まってしまったようで、声が一切出ない。

更に最悪なことに、

今日、オレは、Subだった。

くんくん、と男はSubの匂いを嗅ぎつけたようで、

一層気味の悪い笑いを浮かべた。

男「Subなん?俺が遊んだるわぁ。な?俺Domやねん。

……Kneel(跪け)」

手を振り払って走って逃げてしまいたい。

助けてと声を上げたい。

でも、今この場で声を上げたところで誰が助けてくれるわけでもない。

逃げたとき守ってくれる人がいるわけでもない。

そういう世界だから。

ただ、どうにか出来ないか、とオレは精一杯Commandに刃向かっていた。

男「チッ、Kneel(跪け)!」

強いCommandと同時にGlareも出され、膝の力が抜けた。

かくっ、と地面に膝をつく。

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作者名:哀川樹 | 作成日時:2022年9月30日 22時

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