壊れても (ページ46)

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道枝side

ドアを開けて部屋を出るときに、もう一度こちらを見て威嚇のGlareが放たれた。

殴られたような衝撃で俺たちは床に倒れ込む。

はぁはぁ、と自分の息が乱れていることで、

Glareの強さを再認識して恐ろしくなる。

長尾「…うわぁぁあああぁぁ！！！！！あぁあ！！！うぁぁあ！！」

大声に驚いて目線を向けると、

長尾がパニックになって壁に頭を打ち付けていた。

高橋「けんと！だいじょうぶや！な？？俺がおるよ！」

恭平が必死に止めようとしているが、

思うように動かない体は暴れる彼に振り払われてしまう。

高橋「みっちー、抑制剤とって、、。」

恭平の言葉に無理やり体を動かす。

長尾のリュックのポケットからピルケースを取り出し恭平に放る。

西畑「はっすん？はっすん？なぁ？」

ドアの近くでは大吾くんが大橋くんを一生懸命揺さぶって声を掛けていて、

流星くんは虚ろな目をして倒れている。

俺は重たい体を動かして、

今もなお叫んで暴れ続ける長尾を押さえる恭平を助けに行った。

高橋「抑制剤のませへんと。。。」

長尾の、身体を引っ掻き続ける手と、バタバタ動き続ける足、

壁やら床やらに打ちつけ続ける頭を押さえ、

口を開けさせて一粒取り出した薬を水とともに流し込む。

そんな芸当が力の入らない俺たちにできるわけはなくて、

やっとのことで薬を口に入れても吐き出されてしまう。

とにかく長尾の傷をなるべく少なくしようと身体を押さえつけていた。

彼の力は俺らが思っているよりも強く、

少し気を抜いたら振り払われてしまいそうだ。

手を押さえれば引っ掻かれる。

足を押さえれば蹴飛ばされる。

頭を押さえれば噛みつかれる。

レッスン後の体のどこにそんな体力が残っているのか、

誰かこの叫びを聞いて助けてくれ、と思っていた。

ガンガン、と荒っぽいノックとともに、おい！！という声がして、

誰か来てくれた、と安堵した。

流星くんが壁をつたってドアを開ける。

末澤・正門「大丈夫か！？」

力が抜けて倒れ込む流星くんをおぉ、と正門くんが抱きとめる。

うわぁぁ！！！と叫んでいる謙杜に末澤くんが駆け寄る。

末澤「おい！どうした！？」

高橋「末澤くん、、薬、謙杜に飲ませへんとなんです。手伝ってください。。」

おう、と困惑しながらも頷いてくれて、

流星くんを椅子に座らせた正門くんも手伝ってくれる。

長尾の口に水を流し込む。