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舌っ足らずな、たかぁしくんも可愛いけれど、
きょーへーくん、と呼ばれるといつも頬が緩んでしまう。
すぐ隣に居る少し茶色に染められた謙杜の髪をやさしく撫でる。
最近、謙杜は抑制剤の量を減らし始めた。
キツくなったら恭平くんにぎゅっ、てしてもらうもん。と言っていた。
どうしようもなく辛かったり、
Subになってしまった日だけは抑制剤を飲むようにしているらしい。
そのおかげか謙杜がリラックスしている表情をする瞬間が増えた。
慢性的な頭痛と倦怠感から開放されたのなら良かったと思える。
長尾「恭平くんゲームしようや！負けた方が晩ごはん作る！」
高橋「ええよ。負けへんから。」
わぁわぁと騒ぎながらゲームを始めたが、
結局謙杜が負け、不機嫌なご様子だ。
むぅ、と尖らせた可愛らしい口。
高橋「分かった、ええよ(笑)外にでも食べ行こ？何食べたい？」
やったぁ、と子どものような笑顔にやられてしまう俺は謙杜に甘いだろうか。
何がええかなぁ、と悩む彼にぐっ、と近づいてキスをする。
離れた後、謙杜は照れるでもなくもっと、と強請ってきた。
こちらは心臓が早鐘を打っていると言うのに。
年上の余裕も何もあったもんじゃない。
経験値の差か、と少し寂しくなる。
俺がもう一度してくれないと分かったのか、謙杜の方から近づいてくる。
長尾「オレは今、恭平くんしか見えてへんで。ほんまやよ。」
あぁ、彼はどうして俺が欲しい言葉を知っているのか。
ソファに投げ出した俺の手の指と謙杜の手の指が絡められる。
それだけで猫のように喉を鳴らしたくなるほど気持ちがいい。
もう一度、今度は謙杜から軽くキスされる。
優しい彼の少しだけ威圧的な目。
高橋「今日、Domなんや。」
長尾「…？なんで分かったん？」
高橋「Glare、、、ちょっと分かるようになった。」
目見ただけで気持ちよくなるほどやないけど、と付け足す。
そか、と謙杜が返事をする。
謙杜はあの日以来、
俺にDomやSubの振る舞いをするように頼むことがなくなった。
所詮、ダイナミクスを持たない者の愚かな真似事で虚しくなるだけだから。
長尾「オレ、焼肉食いたいなぁ。」
高橋「ええやん。じゃ、行こか。」
いつの間にか空は暗くなっていて、
大阪の空にはちらちらと星が輝き始めている。
俺らの幸せがなるべく長く、
できれば一生続きますように。
温かな彼の左手を握りながらそう願った。
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作者名：哀川樹 | 作成日時：2022年9月30日 22時
