壊れても (ページ18)

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ゆっくりと足を動かし、部屋に入る。

カチャ、と鍵を締められる。

プ「Kneel(跪け)」

カーペットのない、冷たい床にかくっと正座する。

そして頭上から言われる。

プ「覚えてるか？あの交通事故。

まさかこんなとこで会うとはなぁ…

事故って言うにはちょっと小規模すぎるかもしれんけど(笑)

いやぁ、あの車のキズは高くついたで(笑)

俺の車なんぼすると思ってんねん。

あの自転車のばばあさえ居らんかったらなぁ、、

適当にお前が悪いことにさせられたんに(笑)」

日本語が処理できなかった。

Glareに当てられているからなのか、

ふわふわと浮いているみたいで、

でもSpaceに入っているという感じではなくて。

辛いけど気持ちいい。

気持ちいいけど辛い。

なおもプロデューサーさんは話し続けていた。

プ「藤原くんランク高いやろ？見てすぐ分かるわ(笑)

…なんであんな低ランクと付き合うてんの？

なぁ？俺、Sなんやけど。

俺に乗り換えへん？」

俺がよく言葉の意味を理解できていないのを察したのか、

ゆっくりはっきりと話してくれる。

俺はいつもの倍以上の時間をかけ、それを処理する。

ランクの高いDomに従ってしまいたいという本能と、

大橋を求める俺の気持ちがぶつかる。

幸いにもCommandで言わせようという気はないらしく、

こちらをじっとニヤニヤしながら見ている。

そして気づいた。

いつも大橋は何度もGoodBoyと褒めてくれるが、

一度もこの人は言っていない。

力で上から押さえつけようとする、その他大勢のDomと一緒だ。

回らない今の俺の頭でどっちと居たいか考える。

藤原「たすけ…て。お…ぁし、、」

小さく、小さく、発した声にプロデューサーさんの顔が歪んだ。

チッと舌打ちをすると大柄な体で俺の肩を蹴飛ばし、部屋を出ていく。

プ「覚えとけや。

……Subごときが逆らえるわけないんやから。」

はっ、と目が覚めたようになり、一気に疲労を感じる。

息ができないほど身体が重い。

はっはっ、と浅い呼吸を繰り返し、目から涙が溢れる。

うぅ、と小さく呻いて冷たい床に転がされていた。