39話 ページ39
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Aに必要なのは、恋も親愛も友愛も全部含めて、自分の身勝手を受容し合える対等な相手なんだよ。
それでいいじゃん、おれならきっとその枠を埋められる。
Aのことを一番に優先するし、Aにとってもおれは他じゃ替えの効かない存在になる。
「だから、初めに“一緒に住もう“って話したじゃん。 おれのゴールはそこ」
それまでの道のりは、Aに主導権を明け渡している。
「えっと、ごめん。 要するに、研磨は私相手なら何でもアリってことなの……?」
「そう、自由なAが好きだから。」
研磨は薄く笑って、Aを見る。
脳がショートし、Aは完全に混乱した。
研磨は、私のことが好き? これ、私自惚れてるんじゃないかな。 ネタの自惚は面白いけど、本気のそれは恥ずかしいから勘違いしたくない!
「ねえA、どうしたいか決めて? おれはあくまで受け身だから、いつもみたいにAから言ってくれなきゃ分かんない」
「ちょっと待ってよ! 今ちょーテンパってる……」
柄にもなく心臓がドキドキしていて、思考する余地を奪われる。
分からなくなった。 自分は研磨とどうなりたいのか。
外は早朝を迎えており、すっかり朝焼けの色に満ちていた。
カーテンから差し込む光に当てられて、研磨は「いつでもいいから、決まったら教えてね」と残し部屋を出る。 そうだ、休日と言えども彼には部活の朝練があるのだった。
「……研磨って、やっぱ変すぎ」
残された部屋で、Aは帰る準備をさっさと済ませた。
一晩のオールと色々な衝撃のせいで、脳はすっかり働きを止めていた。
食べかけのお菓子がいくつか机上にあったので、とりあえずそれをつまむ。
少し時間が経てば、インターホンの音が鳴る。
これがいつもの日課なのか、彼の幼馴染が甲斐甲斐しく迎えに来たようだ。
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まめ - 番外編…だ、と……?!ありがとうございますッッッ!!! (4月23日 16時) (レス) @page47 id: 99eca05f77 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - 待ってましたぁ!!!ありがとうございます。いやー新学期始まって癒しがなかったもんですからありがたやっ!! (4月21日 22時) (レス) @page47 id: b5371def11 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - なゆちさん» 初めてコメントしてくださったときのこと、覚えています!当初は夢ジャンルに復帰したばかりでしたので、すごく丁寧で温かいあの一言が心に沁みてました🙏毎度、ありがとうございます! (4月21日 18時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 涼夏さん» こちらこそ、そう言って頂けて嬉しいです。長い間、読んでくださりありがとうございます!日頃の癒しになれたのであれば、良かったです🙏 (4月21日 18時) (レス) @page47 id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
なゆち(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉初めてのコメントをしてから約一ヶ月も経っていて、少しびっくりしちゃいました笑食べるさま、とてもかわいい研磨くんの素敵なお話をありがとうございました><次の作品も楽しみに待ってます💞 (4月9日 5時) (レス) id: 782e12ed33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食べる | 作成日時:2024年3月7日 17時