追加コンテンツの攻略法【孤爪研磨】

34話 ページ33

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常に論理と効率を優先させる研磨だが、心が無いわけではない。
なので、Aの感情論にも理解を示すことはできる。

ふと、研磨は、少し遠い位置にいるトサカ頭の幼馴染を見た。
研磨は知っている。 彼が、何よりもバレーボールに対し真摯であることを。
今年こそ、本気で全国制覇を志していることを。
それはきっと黒尾だけでなく、部員全員、特に三年生にとっての念願であることを。


「もしも私が選手だったら、私みたいなおふざけ気分のマネージャー入るのなんて絶対イヤだなーて思ったの。 邪魔だし、追い出す」
「ぷっ、Aが選手って、ナニソレ。 スパイカーとかやってそう」
「例え話だっての！ や、でも正直スパイクは打ってみたい……。 研磨、私にトスくれー！」
「それ、翔陽のマネ？」
「あ、分かった？ そそ、烏野のオレンジ頭の子。 連日あんたにトスおねだりしてたんだから、上げてやりゃ良かったのに！」
「それはムリ。 翔陽とは……チームプレーより、対戦してたい」


翔陽は、会うたびに新しいから、そこが面白い。

そう言う研磨の目が、きらりと光る。
ほら、きみだって、まるで低燃費みたいな姿勢しておいて、しっかり本気じゃん。
バレーボールと彼らの間に、自分が入る隙などないのだ。
仮にあったとしても、そこに割り込むほど己は無粋ではない。


「どうするかはAの自由だし、好きにすれば。 でもA、これだけは分かって」
「なに？」

「みんな……特にクロは「本気じゃない奴は要らない」みたいな、そんなこと、きっと思わない。 バレーに関わってくれるだけでも、喜ぶんじゃない……かな」


後半になるにつれ、声が小さくなっていく。
少しだけ驚いた。 まさか研磨が、黒尾のことをそんな風に言うとは！
これが幼馴染と言うやつ。 研磨は黒尾から一方的に世話を焼かれているのではない。 ちゃんと彼のことを理解していたのだ。


「私さ、本当にクロー先輩には勝てないんじゃないかって思う。 や、でも将来的に研磨の隣にいるのは私だしなー。 負けてはないハズ」
「なんの話……？ ワケ分かんない」
「分かんなくていーよ！ こっちの話」


コツン、研磨の額を軽く小突く。
周りがバーベキューで熱を持つ中、この場所だけは空気が涼やかな気がした。


「一週間ありがとね、研磨。 楽しかったよ」
「次は、いつ会えるの」
「さあ。 夏休み明けに、学校かな。」


予選がんばれ、そう言ってAは彼の背を叩いた。


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