4話 ページ4
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翌日から、Aは時折研磨といるようになった。
「今日は研磨とお昼食べる日だから、私パス」
「けんま? あー孤爪か。 ……いや、なんで孤爪!?」
「うーん、最近友達になった的な」
「友達て、二人全然タイプ違うのに!?」
ニヤニヤと笑うAを見て、友人らは難儀な顔をした。
Aは孤爪と付き合ってるの? 狙ってるとか? もしくはいじめてる?
「私と研磨? あー、こればっかりは私から勝手に絡んでんの。」
そう残し、Aは購買パンとペットボトル、ゲーム機を持って教室を出る。
「孤爪いじめんなよー!」「孤爪ネチネチ女に絡まれてかわいそー!」と、去り際に聞こえる友人らの大きな笑い声。
品のない軽口だが、あれはいつものことなので気にしてない。
(残念、もうすでにいじめてます)
研磨は私の追加コンテンツなんだから。
せっかくダウンロードしたのに、遊ばないなんてありえない。
「待たせてごめんね、研磨ネコ」
「その呼び方やめてよ……」
数分遅刻、高校生の昼休みの数分はとても大きい。
猫背のプリン頭は、不機嫌そうにAを一瞥する。
相変わらず、ゲーム機はマストアイテムのようだ。
「申し訳ないので私のサンドイッチ一個あげる。」
「いらない。 お腹いっぱいだし……」
「それ、お昼ゼリーで済ませちゃったの?」
「そうだけど」
何か問題ある? 液晶から目を離さないまま、研磨は答える。
彼が少食、というか、食に興味がないことは知っていたが、まさかここまでとは。
「寝癖の人からまた怒られるんじゃない? ケンメァー ちゃんと食え! が来るよ」
「寝癖? あぁ、クロのこと。」
「へへーん、チクっちゃうもんねー。 先輩、孤爪クンはお昼ゼリーしか食べてません! 少食アピしてます!」
Aは知らない人にでも気安く声をかけるし、当人の領域に自分のペースで簡単に踏み入る。
研磨からすれば、そんな彼女の性分なので、彼女と接点のない黒尾と言えども自分の不摂生を密告される心配がゼロではない……といったところだ。
「……言っちゃだめだよ?」
「それはさ、ますます言いたくなるやつじゃん」
「A性格悪い。 きらい」
「……ねぇ、ひどいよ研磨。 チクチク言葉使わないで」
ぐすっ、ぐす
突然、涙声でそんなことを言われたので、流石にゲーム機から目を離した。
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まめ - 番外編…だ、と……?!ありがとうございますッッッ!!! (4月23日 16時) (レス) @page47 id: 99eca05f77 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - 待ってましたぁ!!!ありがとうございます。いやー新学期始まって癒しがなかったもんですからありがたやっ!! (4月21日 22時) (レス) @page47 id: b5371def11 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - なゆちさん» 初めてコメントしてくださったときのこと、覚えています!当初は夢ジャンルに復帰したばかりでしたので、すごく丁寧で温かいあの一言が心に沁みてました🙏毎度、ありがとうございます! (4月21日 18時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 涼夏さん» こちらこそ、そう言って頂けて嬉しいです。長い間、読んでくださりありがとうございます!日頃の癒しになれたのであれば、良かったです🙏 (4月21日 18時) (レス) @page47 id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
なゆち(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉初めてのコメントをしてから約一ヶ月も経っていて、少しびっくりしちゃいました笑食べるさま、とてもかわいい研磨くんの素敵なお話をありがとうございました><次の作品も楽しみに待ってます💞 (4月9日 5時) (レス) id: 782e12ed33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食べる | 作成日時:2024年3月7日 17時