26話 ページ26
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「研磨、なんでここ分かったの!? すごい、どうして!?」
「今もう八時だよ。 監督が、遅いから迎えに行けって、それで」
「ナイスタイミング! 助けてくれてありがとう。 研磨、けっこーガッツあるじゃん」
「ねえ、それよりここ。 殴られたの?」
ごしごし、研磨はジャージの袖で、汚れを落とすかのようにAの腫れた頬を優しく摩る。
「うん。 でも、平気だよこんなの。」
「さっきの誰。 友達じゃないよね」
「あー、元カレ。 ほんと嫌な奴、モラルないし。 あ、モラルないのは私もか! ミルクティー、お釈迦にしちゃった……。」
思い出したように、足元に転がるパックのゴミを拾い上げる。
カレシ、あれが? 研磨は頭の中で反芻した。
ここへ来たとき一番初めに見えたのは、Aが見知らぬ男にパックの中身を浴びせているところ。
自分の友人は気が狂ったのかと思い、最初は面倒だからそれが終わるまで傍で見ておこうとした。
だが、男はいきなり拳を振り上げるもんだから、これはダメだと思い、流石に止めた。
そいつは退散したが、自分が来たのは少し遅かったらしく、Aの頬はすでに赤く腫れあがっていた。 一発、男から殴られたのだろう。
可哀想より、なんで? という思いの方が大きかった。
Aは身内に守られるような性分ではないし、きっと本人もそれを嫌がるだろう。
でも、それで実際に手を出されるのでは、元も子もない。
自分は何をしていた? こうなる前に、何かできたのではないか?
Aを傷つけずに済む方法が、あったはずだ。
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まめ - 番外編…だ、と……?!ありがとうございますッッッ!!! (4月23日 16時) (レス) @page47 id: 99eca05f77 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - 待ってましたぁ!!!ありがとうございます。いやー新学期始まって癒しがなかったもんですからありがたやっ!! (4月21日 22時) (レス) @page47 id: b5371def11 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - なゆちさん» 初めてコメントしてくださったときのこと、覚えています!当初は夢ジャンルに復帰したばかりでしたので、すごく丁寧で温かいあの一言が心に沁みてました🙏毎度、ありがとうございます! (4月21日 18時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 涼夏さん» こちらこそ、そう言って頂けて嬉しいです。長い間、読んでくださりありがとうございます!日頃の癒しになれたのであれば、良かったです🙏 (4月21日 18時) (レス) @page47 id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
なゆち(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉初めてのコメントをしてから約一ヶ月も経っていて、少しびっくりしちゃいました笑食べるさま、とてもかわいい研磨くんの素敵なお話をありがとうございました><次の作品も楽しみに待ってます💞 (4月9日 5時) (レス) id: 782e12ed33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食べる | 作成日時:2024年3月7日 17時