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21話 ページ21




結局、あの後も仕事があり、研磨と話すことなく日を跨いだ。
別に、気まずくなったわけではない。 お互いに忙しかったのだ。 それだけ。


「森然高校の方から差し入れです!」


体育館に響く、フレッシュな声。
数人のマネージャーらが、綺麗に切り分けたスイカを用意してくれたらしい。


「うそ、私なにもしてないよ!? ごめんね、こんな立派なスイカ、切るの大変だったでしょ?」
「いいえ〜。 音駒のマネさん、昨日の夜、一人で食堂掃除してくれてたじゃないですか。 その分も兼ねて、これ食べてください」
「あらら、見てた?」
「いえ、今朝気づいたんです。 テーブル周りから調理台まで、綺麗になってたから。 ありがとうございます!」


冷えてて美味しいですよ、と、生川高校のマネージャーの彼女は、水々しく輝く赤をAへ差し出す。
一番甘いであろう部位をわざわざ選んでくれた優しさに、感動した。
善は積んでおくものだと、しみじみ痛感する。

近くにあった小さな木陰に腰を据え、世界で一番美味しいスイカを食べた。
ホワホワ、良い気分だ。

体育館から出てくる人達の中から、プリン色の頭を探す。
目立つのですぐに見つけたが、自分の知らない友人と一緒にいたため、彼らの仲を邪魔するのも不粋な気がして、動くのをやめた。


(あれが研磨の言ってた烏野のショーヨー。 頭、すごいオレンジ色してる。)


太陽のような明るさが、遠目にいるこちらにまで伝わってくる。
研磨は、ああいう芯から明るい人間の方が好きなのだろうか。
一目見るだけで、彼と自分は違う種類の外交型だと分かった。
人のことをバカにしたり、意地悪したりしない、天性のイイ奴。

研磨と一日接触していないだけなのに、少しだけナーバスな心が芽を出していた。


「なんだ、友達いるじゃん! 研磨くんには私だけじゃなかったのね……A、寂しい!」
「ちよっと、変なアテレコやめてください、クロー先輩。 そこまで思ってないし」


22話 黒尾先輩と恋バナ→←20話 不機嫌



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まめ - 番外編…だ、と……?!ありがとうございますッッッ!!! (4月23日 16時) (レス) @page47 id: 99eca05f77 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - 待ってましたぁ!!!ありがとうございます。いやー新学期始まって癒しがなかったもんですからありがたやっ!! (4月21日 22時) (レス) @page47 id: b5371def11 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - なゆちさん» 初めてコメントしてくださったときのこと、覚えています!当初は夢ジャンルに復帰したばかりでしたので、すごく丁寧で温かいあの一言が心に沁みてました🙏毎度、ありがとうございます! (4月21日 18時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 涼夏さん» こちらこそ、そう言って頂けて嬉しいです。長い間、読んでくださりありがとうございます!日頃の癒しになれたのであれば、良かったです🙏 (4月21日 18時) (レス) @page47 id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
なゆち(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉初めてのコメントをしてから約一ヶ月も経っていて、少しびっくりしちゃいました笑食べるさま、とてもかわいい研磨くんの素敵なお話をありがとうございました><次の作品も楽しみに待ってます💞 (4月9日 5時) (レス) id: 782e12ed33 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:食べる | 作成日時:2024年3月7日 17時

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