1話 ちょっかい ページ1
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試験も終わり、ひたすら消化授業をズルズルとこなす七月上旬。 終礼から放課後まで、少しだけ暇がある。
孤爪にとって、こういった「なんでもない時間」は苦痛であり、ゲームに忙しいフリをして外交を絶つに限る……はずだった。
「孤爪、私と対戦してみない?」
Aが、そんな彼に少しだけちょっかいをかけてみようと思ったのは、完全にそのときの気まぐれだった。
なんとなく意地悪したいとか、そういう。
孤爪研磨、いつも猫背でゲームにお熱、急な金髪デビュー、同じクラスになって3ヶ月が経つが、喋ったことはほぼない。
「……え? なんで」
「私もそのゲームやっててさ。 ほら!」
Aは孤爪の前方から向く形で座り、彼が持っているものと同じ機体を取り出した。
電源がつき、馴染みのあるBGMが流れる。
孤爪には訳が分からなかった。
関わりのない女子__それも苦手なタイプの__に突如絡まれているからだ。
新田A、着崩した制服、薄い化粧をしているのか、主張のある目元、明らかに自分とは合わなさそうなクラスメイト。
いつもゲラゲラ声が大きな人たちと一緒にいて、そのくせ本人はのらりくらりとした雰囲気なのだから、それが余計に掴めない。
(いきなり? なんかこわいし、こうゆう人って大体ゲーム弱い……)
プレイヤーだとしても、所詮ライト層なのだろうと思う。
面倒だし、早く終わらせてしまおう。
「この後部活があるから、一回だけならいいよ」
「やった。 ねえ、ただの勝負じゃつまらないから、お互い負けた方がお願い聞くってのはどう?」
「いいよ」
勝てる確信が漠然とあったため、孤爪はその条件を承諾した。
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まめ - 番外編…だ、と……?!ありがとうございますッッッ!!! (4月23日 16時) (レス) @page47 id: 99eca05f77 (このIDを非表示/違反報告)
涼夏 - 待ってましたぁ!!!ありがとうございます。いやー新学期始まって癒しがなかったもんですからありがたやっ!! (4月21日 22時) (レス) @page47 id: b5371def11 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - なゆちさん» 初めてコメントしてくださったときのこと、覚えています!当初は夢ジャンルに復帰したばかりでしたので、すごく丁寧で温かいあの一言が心に沁みてました🙏毎度、ありがとうございます! (4月21日 18時) (レス) id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
食べる(プロフ) - 涼夏さん» こちらこそ、そう言って頂けて嬉しいです。長い間、読んでくださりありがとうございます!日頃の癒しになれたのであれば、良かったです🙏 (4月21日 18時) (レス) @page47 id: 52b293a903 (このIDを非表示/違反報告)
なゆち(プロフ) - 完結おめでとうございます🎉初めてのコメントをしてから約一ヶ月も経っていて、少しびっくりしちゃいました笑食べるさま、とてもかわいい研磨くんの素敵なお話をありがとうございました><次の作品も楽しみに待ってます💞 (4月9日 5時) (レス) id: 782e12ed33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:食べる | 作成日時:2024年3月7日 17時