夜を歌う小鳥 (ページ6)

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辰哉さんあげます後ページ6

「ということで、桜だっけ？今日からよろしくな！」

「はい！よろしくお願いします！」

なんだかよくわからないけど、辰哉さんは今日から俺の禿ということになった。

「はぁ～...疲れたぁ...」

先に荷物を運んでおいた自室に入るなり、大介は床に倒れこんだ。
ここの部屋は三人部屋らしいが、あとの二人は今は店に出ているようだ。

「涼さん、綺麗な人だったなぁ...」

ごろごろしていると眠気に誘われ、大介の意識は眠りに引きずられていった―――。

「桜、起きろ」

「ふぁ...ん、、辰哉さん」

「仕事の説明するからついて来て。あ、辰哉でいいよ」

起き上がると、辰哉に上から下までまじまじと見つめられる。

「なぁに？」

「その格好じゃあ店に出せねぇ、ちょっくら着替えるか」

―――長い裾を踏まないよう気をつけながら雪華庵の廊下を歩く。

「んで、さっきまで俺達がいたのが裏側でこっちが本当の雪華楼。てかお前ちっちゃいな」

「うっせー！辰哉がでかいだけだ！」

「そうだ、お前ここで働く上でどれだけ照さんから説明受けてんの？」

「無視かよ！...説明受ける前に涼さんが来たから、んまぁ一つも受けてないかな」

「それは災難...じゃあ照さんの代わりに俺が説明すると、ここは低俗な遊郭とは違う。高級遊郭だ。客の前で股をほいほい開いときゃいいわけじゃない。身体でなく心で繋がる。それがお前達に必要とされることだ」

「なんか、深いっすね」

「楽な仕事だと思うなよ。客との外出以外の外出は殆ど認められていない。あ、それでお前達の身の回りの世話をするのが俺達禿。なんか欲しいものがあったら俺達に言うのが原則な」

辰哉は一通り話し終わった後、俺に向き直った。

「涼から頼まれたんだから、俺は桜を立派に育て上げる。これからは一緒に頑張ろうな！」

「...俺頑張るよ」

その後固い握手を交わし、自室まで送ってもらう途中、

「桜ってなんでここで働こうって思ったの？あや、言いたくないなら無理には聞かないけど」

「大した事じゃないよ―――」

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