夜を歌う小鳥 (ページ14)

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初仕事前ページ14

「いてててて......っ」

夕日が傾く頃、大介は雪華楼の廊下を歩いていた。庇うように握っているのは、三味線の練習で傷だらけになった指。

あれから10日ほど、大介は辰哉によりひたすら芸事と礼儀作法を仕込まれた。
三味線、舞踊、歌、礼儀作法を毎日日替わりで教える辰哉は非常に多彩で、なぜ他の仕事を選ばなかったのか疑問に思ったくらいだった。

まー、あんだけ照さんが好きならこの仕事だよなぁ

「なーに、にやにやしてんだよ」

「辰哉っ！」

「それより、そろそろ仕事だから着替えるぞ」

「うん」

辰哉に案内され部屋に入ると、すぐさま着替えに入った。
桜色の着物に袖を通し、黄色の帯を派手に結ぶ。

「桜、目瞑って」と言われるがままに瞼を閉じると、辰哉の手が頬に触れ、指が目の端をなぞる。そして頭に何かが乗る感覚。

「はい、完成」

鏡の中には、綺麗な着物を着て、目の端に赤が引かれた、まるで自分じゃないような綺麗な男が映っていた。

「うわぁ...！！それよりこれ、、一体誰が...」

髪の毛につけられた桜の飾りを触ると、辰哉の口から意外な人物の名が飛び出した。

「照さんだよ。お前、羨ましいな」

「照さん...」

色々な人の思いに、すでに涙が出そうだったが、辰哉に「泣いている暇はないぞ」と退室を急かされたので、涙を堪え廊下に出る。

「涼が向こうの部屋で待ってる。今日は特別に謙と慧も付いている。お前なら行ける、頑張れよ！」

辰哉の激励を背に、大介は桜としての一歩を踏み出した。

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少しずつ書き方が変わっていてすみません(汗)
ここで少しだけ注釈を入れておきますと、遊女の男版は男娼と言うそうです。
また、本当の遊郭では花魁以外の遊女は檻のような場所の中から、外を通る男性を誘い指名させるシステムですが、それでは話が進めにくいということで
システムは京都のお茶屋を参考にさせて頂いています。禿システムなども、それを書いていると桜が客を取るまで3年くらいかかってしまうのでぶっ飛ばしています。
ごちゃごちゃで気持ち悪いと思う方はすみません(^^;;
私も割と調べてから書いてはいるのですが、それでも至らないところは多々あると思います。そこはまぁファンタジーだと思って温かい目で見守ってくれたら嬉しいです(^_^)