世界で一番大切にします【JN】 (ページ29)

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気づいたら部屋が薄暗くなっていた。

韓国に来て初めての休日だから今日は必要な物を買いに行きたかったし、ちょっと観光みたいな事もしたかった。

でもみんなを見送って片付けをして、そのままソファに座って…
今に至る。

頭の中で繰り返し再生される今朝のソクジンさんとのやりとりに、ただただ溜息が漏れた。

ソクジンさんはあの後見事に朝ごはんを作り終え、もぐもぐ美味しそうに食べて爽やかに行ってきますとお仕事へ向かった。

それはもうごく自然で。

あれはやっぱり普通の事なのかもしれないと、そう思ってしまうくらい自然で。

ドラマのワンシーンのような、ソクジンさんの綺麗な顔が、唇が、私の指を……

ごん。

思い出してテーブルに額をつける。
朝から何回繰り返したんだろ…。

いい大人なのに…ユンギ以外の男の人とあまり接して来なかったから…こんな時どうしていいかわからない。

ねぇ世の中のお姉さん達みんなどうしてるの…。
教えて欲しい…。

ソクジンさんは歳上だし、あんなに素敵な人だし、きっと女性の扱いも慣れてるだろうし…。
こんなにじたばたしてるの、私だけだよね。

赤く滲んだ絆創膏を眺めて、今日いちばん深い溜息をついた。

.

.

.

.

ごん。

Aちゃんは指大丈夫だろうか。
ちゃんとしっかり巻いてあげたから大丈夫かな。
でもああいう傷は地味に痛いから早く治ると良いな。

今朝も可愛いかった。
相変わらずユンギの服にすっぴんだったけれど、正直メイクした顔より好きだ。

メイクしてもそりゃもう別格で可愛いんだけど、1番最初にAちゃんを見た時のあの綺麗さが未だに忘れられない。
驚くほど肌も髪も綺麗だし…何より着飾ってない、素の彼女が見れて嬉しい。

だから今朝起きて素顔のAちゃんがいて嬉しかった。

………って

思ってしまった…。

昨日の決意はなんだったんだ。
これっぽっちも消化しきれてないじゃないか。

でも態度には出さないようにした。
怪我したのを見た時はパニックで咄嗟に指を舐めてしまう失態をおかしたけど……自然に振る舞えてたはず。

……これでめちゃくちゃ慌ててたの悟られてたら恥ずかしさで死ねる気がする。

ごん。

冷たいテーブルが気持ち良い。
燃え上がった顔の熱を優しく冷やしてくれる…。

このまま…可愛いと思っていて良いんだろうか。
思うだけなら許されるだろうか。