【刀剣乱舞】それでも少女はそらを飛ぶ【堀川国広】

第十四話・変態との結納は断固拒否させろ ページ15

うぜえ。クソうぜえ。うっぜえ。

現在私は不機嫌である。
先ほど纏わりついてきた婚約者もといクソ男……本田 梓(ほんだ あずさ)が、未だに離れないどころか、私の腰に手をまわし、私の顔に自分のクソ面を近付け、更にはその頬をバラ色に染めるという変態的行動を、当たり前のように、生まれた時から身についているかのように(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)平然とやってのけるという所に恐怖と悪寒が拭い切れない。

お願い申し上げます、どっか行きやがれ変態男。

いや、まあ、これでも私に好意を抱いているというのなら、まだかわいげがあると思えるんだけど、あいにくとそんな事はあるわけがない。

「ああ……お前のそのウジ虫を見るかのような目付き……たまらねぇ」

……変態はどこまで行っても変態なのである。気持ちが悪い。

はあ、とため息をつく。お腹すいた。右側がむさくるしい。因みにこいつは、学食のかきたまうどんをすすっている。わざわざ私に見せつけようという魂胆が丸見えだ。ぶん殴りたい。

なぜ今朝の私は財布を持ってこなかったのだろう。多少面倒でも、玄関から居間までの狭い距離だ。かかる時間なんて数秒だったのに。

後悔してももう遅い。堀川くん、今頃何してるかなあ……テレビに興味津々だったし、いろんなチャンネルみて目を輝かせているんだろうなあ。絶対、絶対可愛い。

そうして現実から意識を手放してると、おもむろにぐいっ、っと腕を強くつかまれる。言わずもがなクソ男こと、本田だ。

「お前、無視してんじゃねえよ」
「……別に、そんなつもりないけど」
「いーや、無視してたな。お前は、この『俺様』を無視していた」

……ヤバイ。かなりヤバイ。

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