19話:夏の夜 ページ20
Aside
「Aは大変だな」
「え?どゆこと?」
どこをどう見てそう思った??
また綴の顔を見る
「表情がコロコロ変わるから」
私と目線を合わして軽く微笑む
「さっきまで難しい顔してたのに今は驚いた顔してる
まだ十秒も経っていないのにな」
夜だからか、綴が声を控えめにして笑う
私は綴から目線を瞬時に逸らして地面を見やる
今思うと私と綴の距離は近い
前じゃなくて横に動いたらすぐに腕がぶつかるし、、
それに、、、この近さだったらハグだってすぐできてしまう
っっ!ばかやろーー!
何考えてるんだ私!まだ家に行く途中だから!帰りもあるから!
(私が一方的に)気まずくなっちゃうだろ!
頭の中ではそう考えてても思い出すのはつい数秒前の綴の顔
綴が、で私と目線を合わして、笑って...
(あぁ〜〜!ムリムリムリ!思い出すだけでもダメ!)
自分の体温が上昇していくのが分かる
顔に左手をつけると尋常じゃないほど熱くなっていた
「いきなり顔伏せてどうした?ちゃんと前見て歩けよ危ないだろ」
「い、いやぁ!もしなんかあっても正義のヒーロー綴くんが助けてくれますでしょう?!」
「もしなんかあったらな、それまでは自分で前見て歩け」
「いやいやいや、私、あり探ししてるから!」
「そのたまに出る謎の発言なんなんだよ
しかも暗くて見えないだろ、蟻なんて」
至近距離であの笑顔はマズイ
コイツ!自分の顔の良さ分かってないの?!
性格もいいし、スタイルもいいし、自分がモテるってことを自覚しろ!
顔を伏せながら話す
「ほんとに暗いね」
「夏とはいえ、もう七時だからな。足元気を付けて歩けよ」
「分かってるって!」
普通に会話をしているようでも顔はまだ熱い
(暗くて助かった)
今の顔を見られたら
いくら鈍感な綴でも気づいちゃうかもしれないから
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作者名:君が代スイーツ | 作成日時:2021年6月14日 0時