op14…プログレ7…松太 ページ10
遠くから女子の騒ぐ声。ふとそちらを見れば、女子の中でひときわ目立つ、うねる黒髪が揺れていた。
神「邑楽先輩…」
クラリネットパートの1人の女子に、邑楽は問い掛ける。
邑「愛美?そこ吹けないの?」
「ウチには鬼ムズくて…替え指とかわかんないし…」
邑「だと思ってあたしこういうの作ってきたの」
「えー何ですかー?」
邑楽は手のひらサイズの小さな本を取り出すと、それを開いて見せた。
邑「運指表ミニチュアブック!」
「キャーカワイー!!みんなの分もあるー!」
「ちゃんと読めるー!」
「メグセンパイ手作りですか!?」
「スゴーイ!」
邑楽は小さな本に釘付けの後輩達の様子を見、ニッと笑った。
邑「大切にしなー」
「「はーい♡」」
神峰は1人、その様子を見ながら思慮する。
神(邑楽先輩は今でも音楽が好きなんだ。
そして、“音楽を好きな人”も好きなんだ
音楽をずっと好きでいられるようにあらゆることに気付き動ける。その気持ちが周りに人を集める。)
神峰は、目の前の打樋にちらと視線を向けた。
神(この人とは真逆の信頼関係だな…)
はて、と軽く首を傾げる打樋。
神(音楽が好きなまま上を目指すことだけを切り捨てたんだ。そしていつの間にか自分で作った限界から、どうやって出たらいいかもわからなくなってしまった)
神峰の脳裏には、天井にべったりと空が塗られた、邑楽の心が思い出されていた。
神(外へ飛び出そうとする人への苛立ちは、外に出られない自分への苛立ち…)
神峰は打樋に背を向け、歩き始める。
神「邑楽先輩が味方にならなきゃこの部は終わりだ。
──限界から出してやらなきゃ……!」
─────────────
バトンタッチです!テストがんばってください〜!
op14…プログレ8…桜ねこ→←op14…プログレ6…桜ねこ
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:松太and桜ねこ x他1人 | 作者ホームページ:
作成日時:2015年1月24日 15時