ロイヤルミルクストーリー

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さっきの寂しい顔はどこいったんか、
神山くん、ほんまに嬉しそうにはにかんでる。


うっすら桃色の、頬の下、ぺこんてへこませて。


こら、可愛ええやの、
工学部の姫やの、

言われますわ。


しーんとなるん、嫌で。


「ここ初めて？
食券の買い方分からん？」


そう声かけたら、


「そんぐらい俺も分かるもんっ。
そんな世間知らずちゃうしっ」


真っ赤っかんなった神山くん。


俺、なんか失礼なこと言うたんやろか？


ぷうって膨れてんのが、可愛ええ。


「神ちゃん、こいつ、失礼やな」


隣の王子、いや、小瀧くんが神山くんに告げ口してんの、
ばっちり聞こえたからな！


「ちゃうん、ごめん。
俺、すぐムキになってまうから。
重岡くん、気ぃ悪したよな」


神山くんに謝られてしもた。


「そんなことないで。
ここ、初めてかな思て。
俺こそ、決めつけた言い方してごめんな？」


「ううんっ。
そう、地下の学食、初めてやねん。
美味しくないって噂やったし、
はっ、ごめん。
重岡くんの行きつけやんな」


学食に行きつけ、て。

この子、ほんま何なん。


可愛い過ぎか。


けど、俺がここばっかやて、
なんで知ってんねやろ？


大学構内にご飯食べる店、5〜6個あんで？


ま、見た感じ、いかにも貧乏やし分かるか。



「貧乏なだけやで。
チャーハンは結構いけるねん。
あとプリンも」


「ほんま？
じゃあ、それにしよっと」


神山くんが硬貨を入れてる横で、


「神ちゃん、
マジでこんな地下牢みたいなかびくさいとこでご飯食べんの？
絶対に不味いやん」


小瀧くんが、ど失礼なことを口走ってる。


「のんちゃん、そんなこと言うたらあかんよ？
嫌なら帰ってもええよ？
俺、いっぺん、ここで食べてみたかってん」


「えー、神ちゃんがそこまで言うなら俺もおる！
ここは治安悪そうやから、
神ちゃんのこと見守っとかなあかんし」


神山くんの騎士気取りか。

まあ金魚の糞やな。


昨日も、一緒に救急車乗る騒いどったし。


まさかの、噂通り、神山くんのこと好きなんか？


・・・あり得るな。


小瀧くんのが年下やし、
そもそも男同士やけども！

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