ロイヤルミルクストーリー

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バッターンっと、

ガラスの扉に向かって激突してしもた。


思ってたより、のぼせてたみたい。
　

なんとか半開きのドアに掴まって、

めまいを抑えてるとこ。


「重岡くんっ、大丈夫っ？」


叫びながら、神山くんが駆け込んで来てんて！


もう顔面蒼白。


「大丈夫っ？怪我してへんっ？
どっか打った？」


「いや、あの、大丈夫です。
のぼせただけで・・・」


神山くんの視線が、下へ下へと・・・


あかん、恥ずいって！


神山くんの方が真っ赤っかになってさ。


「うわっ、ごっ、ごめんっ！」


ふわふわのホテルバスタオル、
俺に投げかけて、

逃げるように出てった。


男同士やのにあんな慌てて。


その割に、しっかり見てたけど。


なんか、ふっと笑えてきた。


神山くんて、もっと気取った人なんかと思てたけど、
俺の思い込みやったんかな。






用意されとった服は、

何から何まで、

そう、靴下やパンツに至るまで、

高級ブランドのもの。


神山くんは普段、ド派手なカッコしてること多いから、

どんな服出てくんねやろって、
不安やったけど、

シンプルやけど、
シックで上品な、

万人受けするデザインのもの。


鏡に映った自分が、
よそ行きの顔してるように見える。


ふわふわの着心地。


ええ生地ってこんな違うねや、って感動。


そろっと出てったら、

神山くんが待ち構えとった。


「やっぱ似合う！
絶対に重岡くんに似合うと思ってん！」


「ありがとうございます。
洗濯してお返しします」


「なんでやねんな。
重岡くんの服はクリーニングして返すけどさ。
それはもらって。
せめてものお詫び」


「いや、そういうわけには」


俺の想像を遥か超えた値段する筈。


「なあ、それより、ご飯行こっ。
俺、腹ペコやねん」


神山くん、はしゃいで、俺の腕に掴まってきた。


男同士で甘えられることって、

いや、女の子含めて、


妹以外に甘えられることなんて、


俺の人生初。


勝手に頬が熱くなってくる。


「重岡くん、今日はコンタクトなん？」


「ああ、はい。
メガネ壊れてもうて」


けどそのコンタクトも在庫はあと１箱のみ。

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