ロイヤルミルクストーリー

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「別に重岡先輩に合わせてはよ来たわけちゃうから」


その一言で、
俺を牽制するために早く来たんやってことが分かった。









練習はいつも通り楽しかったけど、

小瀧くんに嘘をついたことが、
ずっと胸に引っかかってる。

胸に重しされたみたい。


・・・嘘ではないよな？

恋愛なんかしてる暇ないんはほんまやし。


神山くんは魅力的ではあるけど、
なんせ男の子やねんし。


あの事故がなかったら、
今も口さえ聞いてないと思う。


こんな気持ちが揺れるのは、きっと今だけ。


執事の仕事が終わるまで・・・






練習が終わると、毎回、
みんなでご飯食べて行こうってことになるねんけど。


「ごめん！俺と重岡くんはバスするな。
今日、ちょっと大事な家の用事あるねん」


神山くんが断ってくれた。


迎えに来てた車に乗り込んで、すぐ。


「重岡くん、今日は、買いもん付き合うて欲しいねん」


嬉しそうに言うてる。


それは執事としてやんな？


「分かりました。
何買うん？」


「部屋着とか洋服とか色々。
デパートの外商の人が持って来てくれるん、
なんか俺の好みとテイスト違うねんもん」


「ごめんな、断ったら良かった？」


デパートの営業の人にぐいぐい来られて、
俺、よう断らんかって、

昨日、家まで押しかけられてんけど。


執事としては、間違うてたんか。


「あ、ううん。
重岡くんのせいちゃうよ。
付き合いのあるデパートには、
お母さんが頼んでるから、
断ったらあかんのやけどな」


お母さん、


その単語を言葉にする度、

神山くんは、なんとも言われへん寂しそうな顔をする。


その切ない瞳を見ると、
俺まで胸がぎゅっとなるねん。





着いた先は、京都の繁華街の中にある、

若い子たちが好きそうなファッションビル。

(俺も若者ではあるねんけども)


地味な俺には目がチカチカするような。


神山くんが、はしゃいで楽しそうやからえっか。


「重岡くん、これどう思う？」


ぱって、自分の前に当てるんは、

どれも、柄に柄を重ねた派手派手なん。


豹柄やとか、
真っ赤のタータンチェックとか。


なんちゅう奇抜過ぎるセンス。


やけど、神山くんが合わせるとおかしくない。


おかしくないどころか、めちゃくちゃ可愛え。


照れるから。

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