ロイヤルミルクストーリー

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一緒に救急車に乗り込んで、
俺に付き添ってた神山くんに、


「お詫びとお礼がしたいから。
ぜひ、うちに来て欲しい」


そう頼み込まれてさ・・・


何回も断ってんけど、
神山くんちの秘書？執事？


なんかよう分からへんけど、
従業員の男の人が車で迎えに来て、

無理くり連れて来られた。



それにしても、どでかい家。

庭にプールあったし。


玄関なんて、

修学旅行で泊まった観光ホテルみたいな広さやったし。


環境の違いなんてもんちゃうって。


これはもはや、

文字通り、住む世界が違う、

何なら、身分が違う。


「それにしても、ヤバいな、この風呂場」


お洒落な金色の縁のついたシャワー。

でっかくて深いバスタブには、
花びらが浮いとるねんで？


こんなん、ドラマでしか見たことないって。


俺の住んでる学生寮は、お風呂共同で、
帰ってすぐ使えるとも限らんかったし、

銭湯行くお金も勿体無かったし、

この贅沢な空間はありがたい。


シャンプーの後は、
いつもは何もせえへんけど、

置いてあったトリートメントとやらをつけてみる。


「うわ、すご。
めっちゃええ匂いやん！」


なんかめっちゃ甘くて幸せな気持ちになる匂いに包まれた。


そんで、次は花風呂に浸かってさ。


「やっば、超セレブなった気分や」


すっかり、お風呂時間、堪能してしもた。


実家じゃ、
湯船のお湯、少な目にしか入れたらあかんし、
シャワーなんてもってのほかて、

おかんに言われてたし、

学生寮のお風呂は古くてぼろいし、


こんな贅沢、俺の人生で初やねんもん。


そんでもって、
多分最後やろうということも、察しがつくしな。


「なんちゅう、極楽」


思わず、声を出してもうた時。


「良い温度やったんや。
良かった」


すぐそばで神山くんの声がしたから、
心臓、飛び出そうになった。


副交感神経からの交感神経への切り替わりよ。


脱衣所と呼ぶには豪華過ぎる、

ガラス扉で仕切りされただけの、
すぐ隣の部屋に、

いつのまにか来てたらしい。

全然、気付かんかった。


俺、独り言言うてなかった？

大丈夫か？


「うん、ありがとう。
すっかり寛いでもうてて、」

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