ロイヤルミルクストーリー

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「俺の命の恩人で、同級生の重岡くん！
濱ちゃんのおじいちゃん倒れてな。
しばらくかわりに執事してもらうことになってるん」


紹介してくれた神山くん、何故かちょっと胸を張ってる。


「濱田から事情は聞いてる。
智洋の命助けてもらったそうでありがとうな。
改めてお礼に伺うつもりが、
遅くなってしまって申し訳ない。
しばらく智洋の世話を頼みます」


お父さんの方は、
怖そうな見た目に反して、
案外気さくな人なんかもせん。


「神山くんの同級生の重岡大毅です。
そんな、大袈裟なもんやなくて。
この通り、大した怪我もしてませんし。
多分俺が出しゃばらなくても、
軽い怪我程度やった思います。
雇ってもらえることなって、
かえって感謝してます。
しばらくよろしくお願いします」


「なかなか今時の青年にしては礼儀正しいええ子やな。
大学の成績も素晴らしいと濱田から聞いたわ。
智洋も見習うようにな」


「はい。重岡くんに勉強教えてもらいます」


濱田さん、いつの間に、俺の情報調べてんやろ。

さすがの執事やな・・・


お父さんと一通りの挨拶してる間も。


お母さんは、無表情で。


冷たい目で俺を一瞥しただけで、

一人先に、屋敷に向かって歩き出した。


あまりの冷酷な視線に、背筋凍りそうやったし。


顔立ちは、神山くんに似て、綺麗な人やったけど、
雰囲気は真反対。

ビリビリしてて、
触ったら、電流流れそうに、

人を寄せ付けへん感じやった。


コツコツ響くヒールの音。


高級そうな毛皮のコートの背中、見つめて、
神山くん、傷付いた子供のような表情なったから。


俺が切ななってしもた。


なんや、お母さんとの間に、
複雑なもんがあんねんな。


お金持ちやからって、

何もかも持ってるわけちゃう。


当たり前のこと、今更気付いた。











そんで、学生寮まで、

またまた神山くんもくっついて来てんて。


「重岡くん、学生寮の中、見せてもろてもええ？」


車降りる時に興味津々に聞かれた。


「ええけど、痒なっても知らんで？
湿度高くてカビ臭いから」


「むぅ！そんなんならへん！
俺、そない弱い子ちゃうもん！」

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