ロイヤルミルクストーリー

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俺を家庭教師兼の執事に雇う理由が、ほんま分からへん。


幼稚園まで預けられとった、

両親は仕事で忙しい、

言うてたから。


神山くん、寂しいんかもせんな。


いつも一緒の３人がおって楽しそうやけど。


たまには、毛色の違うヤツとの交流もしてみたいってとこかな。


神山くんは真剣に教授の説明に聞き入ってるけど、
俺は、たまに偶然触れる肩にドキドキが止まらへん。


間違えた文字、
消しゴムで消してたら、
指先が触れて、

ほんま、心臓跳ねた。


なんなん、これ。


なんぼ恋愛に免疫ないから言うて、

相手、男の子やで？


講義も聞かずに、
しょうもない堂々巡り繰り返しとる俺の耳に。


「う、・・・」


かすかにちっちゃなため息というか、
うめき声というか。


それに重ねるかのように、
キュルルルって音。


聞こえてきたような？


「痛・・・」


やっぱ空耳ちゃうやん！


「神山くん？」


シャーペンを握りしめとる神山くの綺麗な手、
ちょっと震えてる。


顔面蒼白で、
いつもより更に白くなっちゃってるような？


教授が俺に、チラッと視線送ってる。


『どうしたん？
体調悪い？』


ルーズリーフに走り書きする。


『お腹痛いねん。
なんでやろ』


いつも綺麗な字やのに、
よっぽど痛いのか、みみずみたいな文字。


『大丈夫？』


「だいじょぶちゃうかも」


途切れ途切れの声に、思わず。


「先生！すいません！」


右手挙げてた。


「なんですか？重岡くん」


「神山くんが体調悪そうなんで！
僕、ちょっと医務室に付き添ってきます！」


「そうか。じゃあ、お願いするわ」


教授のお許しも出たとこで。


お腹抱えながら歩く神山くんを、

更に抱き抱えるようにして、
廊下に出た。


「言うたもんの、
医務室どこやろ。
神山くん、知ってる？」


「うう・・・
重岡くん、俺、医務室はええや」


「なんで？脂汗かいてるで？心配や」


聞き返したら、


神山くん、

うくーって、声にならん声あげて、

手でお尻押さえて、ぴょんぴょん、跳ねてる。


「重岡くん！ごめん、先、講義室帰っといて！」


俺を突き飛ばす勢いで言うて、
駆け出してった。

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