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side:You
“ただ今より始業式を始めます“
“在校生の皆さんは体育館に集まってください”
放送の一声に、クラスメイト達が一斉に教室から出ていく
実「A、行くよ〜」
「私はいいかな〜」
千「出た、おサボりさん(笑)」
「...行っても居眠りして怒られちゃうから(笑)」
隆「俺もサボろうかな」
「ダメ〜隆弘がいるとバレちゃう」
光「終業式も西島のせいでバレたもんな(笑)」
「みんな頑張って〜、逃げます」
みんなに小言を言われながら
大勢が向かう方向とは反対に進んで
こっそり見つからないように、屋上へ向かった
.
屋上の扉を開けたら、陽光が眩しくて
夏の香りを纏う風に包まれて
暖かくて、優しくて
真っ青な空がどこまでも広がって
.
微かに聞こえる体育館の声を遮るように
目を閉じて、風の音に耳を澄まして
「...気持ちいい」
.
そっと手を伸ばすと
まだ夏の名残を秘める空に手が届く
.
この瞬間だけは、何もかも忘れられるから
.
幸せな瞬間
.
ずっとこのまま、その綺麗な青で私を包んでいて
.
?「サボり?」
.
私だけだと思っていたから
驚いて、反射的に声がした方を探して
.
屋上の1番高いところに腰掛けている男の子
太陽の光で綺麗な髪が金色に光って
彼だけが、キラキラと輝いていた
真っ青な空に彼だけが映えて
何だか、不思議
.
「あなたもね、おサボりさん」
彼に構わず、空に手を伸ばし続けて
この時間だけは誰にも邪魔されたくないから
.
?「届いた?」
よく分かったね
私、空に手が届いているの
「あなたもやってみたら?」
.
?「...俺は届かない」
キラキラした輝きに反して
今にも消えてしまいそうな小さな声
まるで、泣いてるみたいで
.
「...伸ばす前から決めるなんて勿体ない」
「力一杯、掴まえてみなよ」
.
彼は何も言わず、儚げに笑った
これ以上、一緒にいたら
彼の不思議な魅力に吸い込まれそうで
.
「...あなたも届くはずだよ」
そう言って、屋上を後にした
.
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かおり(プロフ) - 続き待ってます( ; ; ) (2018年4月15日 20時) (レス) id: c8d934a26a (このIDを非表示/違反報告)
桃果(プロフ) - ななさん» これからも楽しみに拝見させてもらいます! (2018年4月15日 15時) (レス) id: b13e5410d1 (このIDを非表示/違反報告)
桃果(プロフ) - ななさんが書くお話全部大好きです!更新頑張ってください! (2018年4月14日 8時) (レス) id: b13e5410d1 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 私ななさんのこの話とっても好きだ毎日読むのが楽しみです。沢山の更新まってます!! (2018年4月13日 23時) (レス) id: 15ac7074ef (このIDを非表示/違反報告)
yuyuhello(プロフ) - 毎回毎回楽しく読ませていただいてます!これからも頑張ってください! (2018年4月13日 23時) (レス) id: 6196869619 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2018年3月18日 18時