15話 ページ15
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「葵」
葵「んー？どした。」
VIPの対応、各予約の女性従業員のケアを終えると話しかけてきた店長のA。
いつもの元気が無くて心配になる。
葵「え、お前熱ある？顔ちょっとだけ赤い…？」
「大丈夫…。葵に話したい事があってなぁ、楽さんが言ってた僕のノルマについて。今回のVIPは葵が獲得して来た方やから僕のカウントには入れない事にするわ。」
葵「……この店の従業員全員の協力でVIP3人じゃん。俺の功績もお前のものだよ。」
「…僕が人材間違えたからチハちゃんは困ってしもて、トヨちゃんはどっか飛んでしもて……僕のせいやん。」
ああそうだった。
トヨの事に関してAに説明するのを忘れていた。
槙さんのおつかいとトヨの処分。
ある意味Aが研修中のトヨの問題行動を報告してくれたから事前に防げた。
チハの犠牲は少しあったが、おかげで危険人物の排除が出来た。
葵「これは槙さんと話したんだけど、トヨについてはこちらで処分したっていう事と……楽さんが指導員として1号店入りする事、あとは…この件に関してはちょっと不謹慎だけどAがぶっ倒れたおかげと俺が襲われかけたおかげで出来上がった1人目のVIPだ、だからこの店の功績となってお前の功績になる。」
ちょっと背伸びしてAにもたれ掛かり近づく。
エレベーターから出てきた人物に気付かないまま、
葵「お前がいなくなるのは嫌だからな。もう8年も一緒にいるんだから。お前がいなくなるなら俺も一緒に行く。」
「あｯ、葵……」
葵「何？今更俺の事突き放すとか無いよな？」
「ち、違っ、後ろ。後ろみな…？」
ポカンとして後ろを振り返ると腕組んで仁王立ちしてる楽と「あはは…」と無邪気に笑う槙がいた。
表情管理がおかしくなったのか、
驚愕のあまり真顔のまま赤面して固まってしまった。
槙「A…葵、楽が迷惑かけちゃったみたいだね。2人して辞めさせるなんて無いからそこは大丈夫だよ。今日は楽を先に引き渡しに来ただけだから警戒しないで。」
楽「お客様がまだいる時間帯に……お客様が来るであろう受付で、私情挟んだ会話を何しているんですか。ここは職場ですよ……貴方達の不満と感情なんて微塵も不要です。2号店でも教えて来ましたが、貴方達の態度から鍛え直していきましょう。Aくん、葵くん。」
「「は、はい…」」
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作者名：乾
| 作成日時：2023年3月8日 23時
