☆ ページ6
ar side
検査は陰性だったから、病院からの帰りに適当に食糧を買って、いのちゃんの家まで送った。
病院でも食糧を買いに入った店でも口を開かなかったいのちゃんが、やっと口を開いたのは玄関に入ってから。
伊「・・・戻るの？」
有「んー」
伊「・・・ごめん」
玄関で床に腰をおろして、ひざを抱えてしまったいのちゃんのつむじを見ながら、心の中でため息をつく。
意地っ張りで素直に甘えられないこいつのそばにいてやりたいと思うのはなんでなんだか。
病院では診察室に一緒に入ってやって、検査するってなって嫌がるから励ましてやって、店では「いちご食うか？」「水、買うか？」って聞いてやって。
自分がお人好しすぎて笑えて来る。
有「ほら、寝るぞ」
いのちゃんの足元にひざまずいて、靴ヒモをほどいてやる。
有「なんか腹に入れて薬飲んでベッド入ったら、いい事あるから。頑張れ」
伊「・・・」
“いい事”に反応して、こっちをじっと見て来るから、頭を撫でてやれば嫌そうに頭を横に振って不機嫌な顔を作って、靴を脱ぐと中に入って行った。
もうちょっとそばにいて。
って、素直に言えば良いのに。
俺がベッドに入るまではいるらしい事が分かって、さっさと中に入って行くのが、分かりやすくすぎて、可愛くなる。
あとを追いかけて中に入ったら、寝室らしきドアが開いてて、覗けばベッドに倒れこんでる。
有「何か食べて薬飲む」
伊「んー」
有「いい事あるぞ」
伊「・・・別に大ちゃんの添い寝はいい事じゃないし」
有「ちげーわっ！(笑)」
俺に添い寝して欲しいのか。
まったく。
しょうがないから、ゼリーをあげて薬を飲ませて、ご希望通り、添い寝してやる。
そんで、俺のスマホを見せた。
『いのちゃん、大丈夫？』
『僕も行きたかった』
『ちゃんと部屋まで送れよ』
『部屋で騒がしくしないんだからね』
『明日も無理すんなって言え』
『休め』
『大ちゃんは来い』
みんなからのメール。
それぞれ個人のやり取り。
みんな心配してんだぞ。
そんで、いのちゃんがじっと見てるメールがあって。
表情は変わらないように見えて嬉しいのが隠せてないぞ。
山『お疲れ。熱、下がった？俺、優しい言い方、できなかった』
有『次、優しくしてやれ』
山『難しい。でも、優しくしたい』
有『おまえら面倒くさ』
山『似た者同士かもな。俺といのちゃん』
まじで、面倒くさいから。
おまえも山田も。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
昨日(プロフ) - 闇さん» コメントありがとうございます！ゆっくり更新ですがお付き合いください😆 (1月21日 22時) (
レス) id: 8e12f8e7ab (このIDを非表示/違反報告)
闇(プロフ) - このお話凄く好きでいつも更新楽しみにしています! (12月29日 23時) (レス) @page5 id: 9b21f76b05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：昨日 | 作成日時：2023年12月9日 7時
