無 ページ4
ym side
俺のファーストキスをくれてやったあいつは、相変わらずテキトーを生身の人間で現したら、あいつだって感じで生きてる。
今日だってダンスレッスンしてるのに、「あー」とか「うー」とか言いながら間違えたり、遅れたり。だらだらやってるのが、イライラする。
いや、イライラしたら負けだ。
いちばんの嫌がらせは『きらい』じゃない『無』だ。
だから、あいつが自分の視界に入っても、俺の世界にはいないモノとしてやり過ごす。
薮「今日も居残りだな」
伊「やだよー!出来てたから!」
薮「出来てねーから!」
床に座ってへらへら笑ってるあいつ。薮ちゃんからのからかいがひと通り終わって、薮ちゃんが別の人と話をはじめたら、頭からタオルをかぶって、ごろりと横になった。
みんなに背を向けて、横向きに丸まったのは、かまってちゃんかよと思って、近くにいた知念に声をかける。
山「さっきのとこ、確認させて」
知「いーよ」
できないやつは練習しろよと見本を見せるような事をする。
なんか全然『無』になれない。
気になって仕方がないのが悔しい。
今だって、視界のすみには寝転がったままのあいつがいる。
有「大丈夫?」
伊「だいじょばない。もう今日はやめようって言って来て」
有「ぷはっ。ってか、今日は帰れば?」
伊「んー」
大ちゃんがあいつの背中を撫でながらため息をついた。
居残りしないといけないやつに何を言うんだと思って、踊ってた足が止まる。
ひとこと言いたくなって口を開こうとしたら大ちゃんが言葉を続けた。
有「無理すんなよ」
伊「んー」
あいつには話しかけたくなくて、大ちゃんを捕まえて、小さい声で責めるような事を言ってしまう。
山「優しいじゃん」
有「熱、ある」
山「へっ」
有「いつにもましてふらふらだから、身体触ったら熱かった。
休めばいいのに。ってか具合が悪いって言えばいいのに。俺たちってそんなに信用ないのかね」
大ちゃんが寂しそうに笑った。
ばかじゃねーの
熱があるのに頑張る俺。
かよ。
ばかじゃねーの。
誰かに気付いて欲しくて寝転がったんだろ。優しい大ちゃんに気が付いてもらえて良かったな。
ほら、優しい大ちゃんが薮ちゃんや光くんに相談しに行った。
はあってため息をついてわざと、どすどす歩いて行って、床にしゃがみこんだら、びっくりした顔でこっちを見た。
あっ
久しぶりに目が合った。
240人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
昨日(プロフ) - 闇さん» コメントありがとうございます!ゆっくり更新ですがお付き合いください😆 (1月21日 22時) (レス) id: 8e12f8e7ab (このIDを非表示/違反報告)
闇(プロフ) - このお話凄く好きでいつも更新楽しみにしています! (12月29日 23時) (レス) @page5 id: 9b21f76b05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:昨日 | 作成日時:2023年12月9日 7時