Episode86 ページ37
「今、何て……?」
「じゃから、三年前にそこの門で自 殺したんじゃよ、黒服の男達に追い詰められてな。」
自 殺。
老婆は確かにそう言った。
「そんなわけないわ!だってお爺様は事故だって!」
「お前さんが何を聞いたのか知らんが、あたしゃこの目でしっかり見たんだよ。」
きっと別人だ。
そう思いたいが、母親が死んだのは、確かに三年前の今日。
以前、街の本屋の老婆と仲が良いのだと、聞いたことがある。
「東洋人の、それはそれは綺麗な女じゃった。」
それから先の老婆の言葉は耳に入らなかった。
その場からどうやって帰ったのかもよく覚えていない。
家に帰るなりリチャードの部屋に飛び込み、呆気にとられるリチャードに詰め寄った。
「お母様が自 殺したってどういう事!?お爺様は事故だって言ったじゃない!」
「落ち着くんじゃ、ジェーン!何処でそんな話を聞いた!?」
狼狽るリチャードの様子に、やはり昔された説明は嘘だったのだと確信する。
「見た人がいたのよ!」
今日の任務内容を思い出し、納得したように溜息を吐くリチャード。
「何処までが本当なの?もうお爺様のこと信用できないわ!」
「わかった、わかったから一度落ち着いてくれ。」
必死にジェーンを宥めると、一度ソファに座らせ、紅茶を入れる。
「ジェーン、これには込み合った深い訳がある。できればブライアンがいない時に話したい。」
自分に頭を下げるリチャードを見て、ジェーンもなんだか気まずさを感じる。
「明後日からブライアンはイタリアに行く。その時に話そう。よいか?」
「ちゃんと本当の事を話してくださる?」
「あぁ、誓って。」
その返答に、ジェーンはひとまず気を静め、部屋に帰った。
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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時