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Episode72 ページ23

中也は苦戦していた。

背後には中也によって秒殺された大男達が積み重なっている。

まだ立っているのは三人。
筋肉に身を包んだような黒人の男。
狐のような顔をした、いけ好かない男。
ロマンスグレーが特徴的な、老齢の男。

三人は各々、中也の攻撃を受け、かわし、隙をついて反撃してくる。

先刻迄の奴らとは格が違ぇ。

「テメェら、さては幹部か。」

「その通りヨ!。四大幹部サ!残り一人は君らも知っての神島!」

少し癖のある話し方をするのは狐。

「貴様こそ誰じゃ。その手腕、只者ではない。」

老人は流暢な発音で中也に尋ねる。
見たところ、筋肉以外は日本語が分かるようだ。

「これから死ぬ奴らに教える義理はねぇ。」

中也の返答に狐の顔が怒りに歪む。

「死ぬのは君サ!」

小柄な中也に、筋肉が襲い掛かる。
先程から中也の打撃を物ともせず、持ち前の筋肉で力技を奮う。

「どんだけ身体鍛えたって、重力には敵わねぇよなぁ!」

異能力によって威力を増した中也の蹴りが筋肉を吹き飛ばす。

しかし、崩れた壁の中から再び立ち上がる巨体。

「中々頑丈じゃねぇか。」

楽しそうに口を歪める中也に向けて、狐がマシンガンを構える。

「死ネ!」

室内に銃声が響き渡る。

しかし放たれた弾は全て、中也に当たる前に威力を無くし、空中で静止する。

中也は、その全てを筋肉に向けて飛ばす。

「ひっ!」

筋肉の血液が狐の顔に飛ぶ。
細い目を開き、中也を睨みつける狐。

「貴様能力者だネ!そうとわかれば、力勝負なんて御免ヨ!」

何処からかカードを取り出す狐。

「異能力【Fraud】」

中也の周りをカードが取り囲む。

「サァ、好きなのを選ぶヨ!」

訳もわからず、中也が手元のカードを一枚選ぶと、体内にダメージが走る。

「ゲホッ!……何だ!?」

口から血を吐く中也。
胃の辺りが熱く、痛い。
内臓がやられたのだ。
しかし、何故。

裏返ったカードに刻まれているのはスペードの8

トランプか。

「胃か。次は何処にするネ?」

どうやらトランプに触れると、その指す部位にダメージを与えるらしい。

避けようとしても身体に纏わりついてくる。
そうこうしているうちに、右手がトランプに触れる。

クローバーの6

中也の肋骨が軋む。

「運のいいやつヨ。早く心臓でも引け!」

しかし次の瞬間、銃声が響くと、中也の周りのトランプが消えた。

狐が頭から血を流して倒れる。

銃を持って、死体の前に立っているのは老人だった。

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noel(プロフ) - あやねっちさん» 嬉しいです!!ありがとうございます、これからも頑張ります (2020年4月4日 18時) (レス) id: fd0be5fd69 (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 1からここまでよみました 最高でした更新楽しみにしていますね (2020年4月4日 16時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:noel | 作成日時:2020年3月30日 9時

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